井山碁聖3連覇にあと1勝 碁聖戦・金沢で第2局 

対局終了後、感想戦で対局を振り返る井山碁聖(左)=北國新聞会館

 囲碁の井山裕太碁聖(34)に一力遼棋聖(26)が挑戦する第48期碁聖戦5番勝負第2局(北國新聞社、新聞囲碁連盟、日本棋院、関西棋院主催)は15日、金沢市の北國新聞会館で打たれた。午後6時55分、237手で井山碁聖が勝ち、2連勝でタイトル3連覇に王手を掛けた。序盤から難解な局面が続き、きわどい攻防の末に大熱戦を制し、価値ある白星をつかんだ。

 序盤は黒番の井山碁聖が左下隅と左上隅で足早に実利を稼ぎ、白番の一力棋聖は厚みで対抗。一方、右下隅では一力棋聖が実利を確保し、井山碁聖は厚みを築いて左下の白の勢力をけん制する展開となった。

 序盤はスピーディーに着手が進んだが、中盤からは両者とも長考に沈む場面が目立った。井山碁聖は腕組みをしたり顔に手を当てたりして考えを巡らせ、一力棋聖は背筋を伸ばし、時折目薬を差しながら盤面に視線を向けた。

 互いに分断した石を攻め合う険しい局面となった。井山碁聖は中央の白を取り、一力棋聖は右下の黒を攻めたが、井山碁聖が的確に応じて優位を確立。終盤には一力棋聖が粘りの一手を放ったが、井山碁聖は冷静に押し切った。

 井山碁聖は「中央の戦いで打ちやすくなった。第3局はコンディションを整えて精いっぱいやりたい」と前を見据えた。一力棋聖は「中央の戦いでもっといい打ち方はあったと思う。次戦は修正して臨みたい」と巻き返しを誓った。

 2人は第78期本因坊戦7番勝負でも、タイトル争いを繰り広げている。立会人の武宮正樹九段は「最初から最後まで難解で、勝ち切った井山碁聖はすごいが、一力棋聖も最後まで土俵を割らなかった。この2人の熱戦にこれからも期待したい」と話した。

 持ち時間各4時間のうち、残り時間は共に1分だった。第3局は28日、東京都千代田区の日本棋院で行われる。

  ●大盤解説も盛況

 北國新聞20階ホールで開かれた大盤解説会には、ファン約60人が参加し、マイケル・レドモンド九段と佃優子アマ六段による解説と軽妙なトークを楽しんだ。

 対局終了後には、両対局者が会場を訪れ、参加者が拍手で激闘をたたえた。井山碁聖は「ずっと難しかったが、自分なりに精いっぱい打てた」と振り返り、一力棋聖は「中央の打ち方がまずかった。まだ対局は続くので、次戦も頑張りたい」と意気込んだ。

 数年前に囲碁を始め、初めて大盤解説会に訪れた金沢市末町の会社員牧野智子さん(55)は「レドモンド先生の話が分かりやすく、対局者にも会える貴重な機会だった。また来たい」と笑みを浮かべた。

多くのファンでにぎわった大盤解説会=北國新聞20階ホール

© 株式会社北國新聞社