クレープやホットケーキが焼けるときの、甘くて優しい匂い。
筆者が大好きな香りです。
倉敷市東町にある「虹色商店」は、いつも幸せな甘い匂いでいっぱいのクレープ専門店。
焦がしバターのもちもちクレープは、こだわりの早雲蜜芋ペースト付き。
甘くないデリクレープは、ランチにぴったりです。
バリアフリー店内には、厳選された魅力的な雑貨がいっぱい並んでいます。
お店丸ごとお気に入り登録したい、おしゃれなクレープ専門店「虹色商店」の紹介です。
懐かしくモダンな虹色商店。バリアフリーのトイレもあり
倉敷市東町にある「虹色商店」。
美観地区とは少し外れたところにあり、静かで穴場的なエリアです。
お店は古い三軒長屋の真ん中、段差無しのバリアフリー設計にリノベーションされています。
懐かしさを感じる建物に、モダンなインテリアが融合した「虹色商店」の店内。
店内は、入り口から奥に向かって商品が陳列され、右側と奥にカフェコーナーがあります。
お店のなかはバターの甘い香りでいっぱい。幸せの匂いがします。
小上がりには畳にちゃぶ台。
小さなお子さん連れでもゆっくりと過ごせそうです。
カウンターの猫は読書中。
お店の中には猫の置物があちこちにあり、猫好きにはたまらないお店ですね。
虹色商店は、障がい者の就労支援を目的とした「協同組合レインボー・カフェ・プロジェクト」が運営する、カフェと雑貨のお店です。
お店のなかには、障がい者施設の作業所で作られた雑貨や絵画が並びます。
その9割は岡山県内の作業所から集められました。
広い通路があり、車いすのままで入れるバリアフリーのトイレ。
オムツ替えシートもありますよ。
トイレの通路にも猫が眠っています。
本物の猫と間違える人もいるのだとか。
バラエティ豊かなクレープメニュー。早雲蜜芋(そううんみついも)が決め手!
まずは入り口で注文、支払いをすませます。
カウンターのタイルも素敵!
虹色商店は現金のほか、各種クレジットカードでの支払いも可能です。
こちらが虹色商店のメニューです。クレープの種類は大きく以下の3種類。
- カスタードと早雲蜜芋(そううんみついも)のペーストがトッピングされた甘いクレープ
- 甘くないデリクレープ
- 熱々のホットバタークレープ
甘いクレープには、早雲蜜芋(そううんみついも)のペーストがトッピングされています。
早雲蜜芋とは、どんな芋なのでしょうか。
早雲蜜芋は、岡山県井原(いばら)市で昔から作られている、焼くと蜜がしみ出るほど甘いさつまいも!
そもそも虹色商店は、レインボー・カフェ・プロジェクトで作られる早雲蜜芋のペーストで何かできないか、というところからプロジェクトがスタートしました。
看板にも「倉敷芋研究所」とあるように、虹色商店の要(かなめ)となる食材なんですね。
デリクレープには、早雲蜜芋のポタージュが付きますよ。なお、夏場は冷製です。
中村さんちのうまいもの工房特製ソーセージ付きの豪華なセットも。
出来たてのホットバタークレープも美味しそうですね。
クレープ、ドリンクともにテイクアウト可能です。
冷たい飲み物は、環境に配慮した麦ストローで提供されます。
また、2023年6月から大阪にあるツナグ茶房のメニューを虹色商店で食べられるようになりました。
コラボレーションメニューは月に1度のペースで入れ替わります。
メニュー情報は虹色商店のインスタグラムで発表されるのでコチラをチェックしてくださいね。
蜜芋ペーストが絶品!苺のクレープにデリクレープソーセージ&エッグセット
「季節のフルーツスペシャル(苺)」のレギュラーサイズを作ってもらいました。
なんてかわいらしいんでしょう。
心の中で「わぁ~!」と歓声があがります。
愛らしいカッティングの苺にペーストの黄色、色とりどりで食べるのがもったいないようなクレープですね。
砂糖を使わずに、焼いた早雲蜜芋をつぶして作る蜜芋ペーストがたっぷり。
本当に砂糖を使っていないの?と思うくらい甘く、豊かな味わいです。
もちもちのクレープ生地にぴったりですよ。
手作りのカスタードも絶品。
蜜芋ペーストと最高の組み合わせです。
ランチにおすすめの「デリクレープ」は、サラダと早雲蜜芋のポタージュ付き。
ソーセージにポーチドエッグ、バターたっぷりクレープのお食事セットです。
パリッと焼き目が付いた、中村さんちのうまいもの工房のぐるぐるソーセージ。
お肉の旨味がギュッとつまったソーセージとクレープが合う!
甘いものが苦手な人や、ボリュームが欲しい男性も満足できるクレープセットです。
寒い季節にうれしい、ホッと温まる早雲蜜芋のポタージュ。
蜜芋のクセのない甘味に少しの塩加減が抜群で、今まで食べたことがないほど美味しいポタージュです。
他にはない、もちもち食感が特徴の焦がしバターのクレープ。
デリとスイーツ、どちらも甲乙つけがたい美味しさですよ。
セレクトの基準は「本当に良いもの」。虹色商店の雑貨いろいろ
虹色商店を運営しているレインボー・カフェ・プロジェクトは、障がい者が自立できる社会を目指す支援団体です。
店内で販売されている雑貨は、すべて障がい者施設の作業所で作られたもの。
「本当に良いものを作り、適正価格で販売する」ことを第一に集められています。
ぽってりとしたフォルムの特注ロゴいりマグカップ。
置いたそばからなくなる売れ筋商品だそうです。
お店のホットドリンクも、このマグカップで提供されますよ。
細部までていねいに手作業で作られた、ひのきのピアノ。
贈り物にぴったりです。
総社市の作業所「まーる」のハンドドリップコーヒー。
店内のコーヒーも、まーるのコーヒー豆を使用しています。
ガラスや陶芸、絵画など、じっくりと見たくなる作品も展示されています。
サル、キジ、犬、桃太郎のかわいいオブジェ「ももたま」。
備前焼の風合いが素敵な「ももたま」は、岡山市にある閑谷ワークセンターせとの作品です。
見た目も愛らしいうえに、水やお酒、ご飯を美味しくする「美味玉」として使えるそうですよ。
手吹きガラスは、岡山市の田園地帯にある「うらやすガラス幸房」の作品。
こちらのグラスもマグカップと同じく、入荷するとすぐに売れていくのだとか。
優しい色合いのストール。
手触りが良く、ていねいに作られていることがわかります。
ひとつひとつ、じっくりと時間をかけて眺めたい絵画作品。
お店のレイアウトは、そのときどきで変わります。
お気に入りの作品との出会いがあると良いですね。
美観地区の周辺では珍しい、「クレープ専門店」として2019年3月にオープンした虹色商店。
今までのこと、そしてこれからの思いを、店長の四木希美(しき のぞみ)さんにインタビューしました。
ランチにお茶に、お店に来てくれることがうれしい。店長、四木希美(しき のぞみ)さんインタビュー
虹色商店店長の四木希美(しき のぞみ)さんにインタビューしました
インタビューは2019年12月の初回取材時に行った内容を掲載しています。
──2019年3月にオープンされて約10か月(取材当初)となりますが、その間のお話をお聞かせください。
四木────
そうですね、とにかくクレープがちゃんときれいに焼けるようになるのかが心配でした。
私自身クレープ作りが初めてでしたし、虹色商店の生地はとくに扱いが難しくて、なかなか上手く焼けなかったんです。
オープンまでに本当にできるのか不安で仕方なかったのですが、コーディネーターのお店のスタッフが教えに来てくれてなんとか間に合いました。
──一般的なクレープ生地との違いはどんなところですか。
四木────
虹色商店のクレープは焦がしバターと三温糖を使い、もちもちとした生地が特徴です。
そのためにクレープの生地が伸びにくく、鉄板にくっつきやすいのできれいに丸く焼き上げることがとても難しいんです。
──スタッフの皆さんは軽々と焼いていたので、そんな苦労があったとは驚きです。
四木────
上手く焼けなくて、開店時間を遅らせたこともあったぐらいなんですよ(笑)
鉄板の相性もあるのか、初めは上手く焼けずに破けることも多くて、スタッフはみんな苦労しました。
今の鉄板で二代目なのですが、バターが焦げ付きやすいので鉄板を休ませ、だんだんとコツが掴めてきたと思います。
──デコレーションも洗練されて、食べ歩きが強いクレープのイメージが一新されたように思います。
四木────
フレッシュな季節のフルーツをたくさん使っているので、お客さまにも好評です。
スタッフでどんなデコレーションにしようか考えて、見た目の華やかさもこだわっています。
食べ歩きだと、どうしてもゴミが出てしまうんです。
もちろん持ち帰りもできますが、ケーキのような感覚で食べてもらえたらと思います。
──オムツ替えシートやバリアフリーのトイレ、そしてほぼ段差がない店内に、心配りの深さを感じました。
四木────
平日はお子さん連れのお客さんも多いのですが、ベビーカーを置くスペースもあるのでゆったりと楽しんでほしいですね。
美観地区周辺はバリアフリーのトイレが少ないので、虹色商店のトイレを使ってもらえたらと思います。
──クレープの種類が多いので、通われるお客さんも増えそうですね。
四木────
最近は常連さんもできて、ランチやお茶の時間に気軽に立ち寄ってくれることが増えてきました。
ランチにデリクレープ、お茶の時間に甘いクレープと続けて食べてくれたお客さまがいらしたときは嬉しかったですね。
これからももっと地域に愛されるような、居心地の良いお店に育てていきたいです。
ゆったりと落ち着いて食べられるクレープ専門店「虹色商店」
クレープは手に持って、ブラブラ歩きながら食べるもの。
そう思っていた筆者にとって、虹色商店のクレープはうれしい驚きでいっぱいのひと皿でした。
店内のセレクトされた雑貨は、どれも魅力的なものばかり。
ふと手に取ったものが、知らず知らずのうちに支援になるなんて、とても素敵なことですよね。
小さい子どもを連れた人、車いすの人、どんな人にも同じ美味しさや優しさを。
虹色商店の居心地の良さは、そんな思いやりの心が感じられるからなのかも知れません。
今度は家族で、ゆったりと訪れられたら良いな、と思っています。