ウェルネス沖縄、1点守り切る 大濵、値千金の一打 夏の甲子園2023・県大会

 甲子園出場を懸けた第105回全国高校野球選手権記念沖縄大会の第11日は15日、沖縄セルラースタジアム那覇で準決勝2試合を行った。ウェルネス沖縄―興南の対戦は七回に1点を先制したウェルネスが興南を無失点で抑え、初の決勝進出を決めた。沖縄尚学―宮古の対戦は五回までに5点を奪った沖尚が宮古を退け、3年連続16度目の決勝に進んだ。決勝は16日午後1時から、同球場で行われる。
 少ない好機を生かしたウェルネス沖縄が昨年夏の甲子園出場校、興南を破った。七回、5番大濵安綺が放った値千金の左前適時打で、打ちあぐねていた興南の左投手・田崎颯士を初めて攻略した。ウェルネスはここで得た1点を守り抜いた。

 ストライクゾーンを目いっぱい使い、内角と外角を攻め分ける田崎の前に、六回まで10三振、1安打に抑えられたウェルネス。試合の流れは安打数で勝る興南に傾いていたが、大濵は「1点を先に取ったら勝てる」とベンチで絶えずメンバーに声をかけ、チームの士気を保ち続けた。

 先制点の好機はその大濵に回ってきた。初めて三走を置いた場面。外に逃げる変化球に悩まされていた大濵は「ここで決める」と内角の直球に対し腕を畳んでうまく対応、左前へとはじき返した。コースは厳しく、当たったのはバットの先だったが、興南戦に向けて左投手を打ち崩す練習をしてきたといい、その成果が現れた。投げては安里幸大と上原律己の完封リレーで1点を守り切ったウェルネスが決勝進出を決めた。

 大濵は「明日も苦しい展開は間違いなく来る。数少ないチャンスをものにして勝ちたい」と初の甲子園出場に向け、覚悟を決めた。

(砂川博範)
先発安里、無失点好投
 準々決勝でノーヒットノーランを成し遂げたウェルネス沖縄の右腕・安里幸大が興南戦でも先発登板し、九回途中まで投げて無失点に抑えた。継投の上原律己は3人で締めた。安里は序盤ボールが先行し、制球が定まらない場面もあったが「相手(投手)は2年生。絶対負けられない」と意地とプライドで押した。

 カーブの調子が良く、打たせて取る投球でアウトを重ねた。七回には併殺打に打ち取ったと思った当たりがセーフとなり2死一、三塁の危機を迎えたが、最後は詰まらせ二ゴロで乗り切った。「明日も投げるつもりだ。チームが勝つためだけに投球をしたい」と準備は万端だ。

(砂川博範)

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