クラフト・バンブーのメルセデスが完勝のポール・トゥ・ウイン。Dステーションが健闘の6位/GTWCアジア第6戦鈴鹿

 7月16日、三重県の鈴鹿サーキットでファナテックGTワールド・チャレンジ・アジア・パワード・バイAWSの2023年第3ラウンドの決勝レース2となる第6戦が行われ、クラフト・バンブー・レーシングの37号車メルセデスAMG GT3(アンソニー・シュウ/ダニエル・ジュンカデラ)がポール・トゥ・ウインで総合優勝を飾った。

 6月の第2ラウンド富士に続き、2023年の第3ラウンドとして鈴鹿サーキットで第5戦・第6戦が開催されているGTWCアジア。前日に行われた第5戦ではチーム5ZIGENのニッサンGT-RニスモGT3とのトップ争いを制したAASモータースポーツ・バイ・アブソリュート・レーシングの911号車ポルシェ911 GT3 Rが優勝を獲得した。

 迎えた第6戦となるレース2の予選でポールポジションを奪ったのはクラフト・バンブー・レーシングの37号車メルセデスAMG GT3を駆るワークスドライバー、ダニエル・ジュンカデラとなり、2番手にもトリプルエイトJMRの88号車のルカ・ストルツ、さらに3番手にはクラフト・バンブー・レーシングの85号車のマキシミリアン・ゲーツが続き、メルセデス勢がトップ3を独占する結果に。

 レース2決勝は16日11時30分にスタート。コンディションは気温33.9度、路面温度50.7度と週末でもっとも暑いなか、1周のフォーメーションラップを終えた後にシグナルグリーンとなる。スタートでは1〜2コーナーへの飛び込みで2番手のストルツがトップのジュンカデラに並びかけるも、ここでは順位変動は起こらず。レース2の第1スティントはプロが多い第2ドライバーがドライブしていることもあり、後方集団も大きなアクシデントなくレースが進んでいく。

2023GTWCアジア第6戦鈴鹿 決勝レース2スタート直後の3コーナー

 レース残り47分となる6周目には、S字や日立Astemoシケインなどに人工芝が落ちていることもあり、回収のためフルコースイエロー(FCY)が導入。FCYは4分ほどで終了し残り43分で再開に。その後も順位変動やアクシデントなく落ち着いた展開でレースが進み、スタートから25分が経過した11周目にピットウインドウがオープンされる。

 しかし、各チームとも第2ドライバーで引っ張る戦略を採るため、10分間のピットウインドウオープンの後半5分以降に各車がピットに入っていく。上位勢はピットウインドウオープンの残り2分で一斉にピットインし、プロ・アマクラスのマシンはギリギリまでプロドライバーがドライブしてアマチュアドライバーに後半スティントを託す。

 全車のピットイン完了後はレース前半もトップを走行していたクラフト・バンブー・レーシングの37号車がそのまま首位をキープ、2番手にトリプルエイトJMRの88号車が続き、3番手にはR&Bレーシングの4号車ポルシェ911 GT3 Rが順位を上げてくる。そんななか、ターン13でイエローフラッグが振られた影響でレース残り15分で2度目のFCYが提示されたが、このFCYはすぐさま解除となり、残り14分のスプリントバトルに突入していく。

 レース最終盤になると中段勢のポジション争いが白熱し、23周目のデグナーカーブで85号車とプラス・ウィズ・BMWチーム・スタディの5号車BMW M4 GT3がコースアウト。さらにその直後にはチーム5ZIGENの500号車ニッサンGT-RニスモGT3がデグナーふたつめの立ち上がりでマシンのフロント部分にダメージを負ってしまいストップ、そして残り2分では日立AstemoシケインでLMコルサの60号車フェラーリ488 GT3とクライマックス・レーシングの3号車メルセデスAMG GT3が交錯してしまうなど、チェッカーに向けて波乱が続出する。

 しかしトップをいくクラフト・バンブー・レーシングの37号車メルセデスはトラブルなく60分を走り切りポール・トゥ・ウイン、さらにファステストラップと最多ラップリードでグランドスラム達成という完勝を果たした。2位にはトリプルエイトJMRの88号車メルセデスが続き、3位には2号車メルセデスとの争いを制したR&Bレーシングの4号車ポルシェが入り、メルセデス勢の表彰台独占を阻止した。そして6位にはレース終盤の激しい中団グループの順位争いを制したDステーション・レーシングの47号車アストンマーティン・バンテージAMR GT3が続きジャパンカップの最上位に。プラス・ウィズ・BMWチーム・スタディの5号車BMW M4 GT3も10位でフィニッシュしている。

 GT4はクラスポールポジションからスタートしたアキランド・レーシングの71号車トヨタGRスープラGT4が2周目にガレージインしてしまい、代わってYZレーシング・ウィズ・BMWチーム・スタディの50号車BMW M4 GT4がトップに立ち、そのまま2連勝を飾っている。これで鈴鹿サーキットでの第3ラウンドを終えた2023年のGTWCアジア。次戦は7月22〜23日にモビリティリゾートもてぎで第4ラウンドとなる第7戦、第8戦が開催される予定だ。

2023GTWCアジア第6戦鈴鹿 総合優勝を喜ぶアンソニー・シュウとダニエル・ジュンカデラ(クラフト・バンブー・レーシング)
2023GTWCアジア第6戦鈴鹿 総合2位となったトリプルエイトJMRの88号車メルセデスAMG GT3(H.H.プリンス・アブ・バーカー・イブラヒム/ルカ・ストルツ)
2023GTWCアジア第6戦鈴鹿 総合3位となったR&Bレーシングの4号車ポルシェ911 GT3 R(ルー・ウェイ/パトリック・ピレ)
2023GTWCアジア第6戦鈴鹿 総合6位フィニッシュでジャパンカップを制したDステーション・レーシングのアストンマーティン・バンテージAMR GT3(星野敏/藤井誠暢)
2023GTWCアジア第6戦鈴鹿 GT3プロ・アマクラスの表彰式
2023GTWCアジア第6戦鈴鹿 GT3アマクラスの表彰式
2023GTWCアジア第6戦鈴鹿 YZレーシング・ウィズ・BMWチーム・スタディのBMW M4 GT4(加納政樹/織戸学)
2023GTWCアジア第6戦鈴鹿 GT4クラスを制し2連勝を飾った加納政樹/織戸学(YZレーシング・ウィズ・BMWチーム・スタディ)

■GTワールド・チャレンジ・アジア第3ラウンド/第6戦決勝レース結果

ファナテックGTワールド・チャレンジ・アジア・パワード・バイAWS

第3ラウンド/第6戦決勝レース結果

Pos. No. Class Team Car Driver Times/Gap

1 37 GT3 Pro-Am クラフト・バンブー・レーシング メルセデスAMG GT3 EVO A.シュウ/D.ジュンカデラ 1h00’18.949

2 88 GT3 Pro-Am トリプルエイトJMR メルセデスAMG GT3 EVO H.H.プリンス・アブ・バーカー・イブラヒム/L.ストルツ 9.279

3 4 GT3 Pro-Am R&Bレーシング ポルシェ911 GT3 R(992) L.ウェイ/P.ピレ 29.471

4 2 GT3 Pro-Am クライマックス・レーシング メルセデスAMG GT3 EVO Z.ビーファン/D.リンド 31.452

5 87 GT3 Silver R&Bレーシング ポルシェ911 GT3 R(992) B.ユアン/L.イェ 34.881

6 47 GT3 Pro-Am Dステーション・レーシング アストンマーティン・バンテージAMR GT3 星野敏/藤井誠暢 45.509

7 992 GT3 Pro-Am アブソリュート・レーシング ポルシェ911 GT3 R(992) B.ジンロン/A.インペラトーリ 45.808

8 11 GT3 Pro-Am アウディスポーツ・アジア・チーム・アブソリュート アウディR8 LMS GT3 EVO II A.ハルヤント/J.ユー 46.796

9 911 GT3 Pro-Am AASモータースポーツ・バイ・アブソリュート・レーシング ポルシェ911 GT3 R(992) V.インタラプワサク/K.バッハラー 47.398

10 5 GT3 Pro-Am プラス・ウィズ・BMWチーム・スタディ BMW M4 GT3 山口智英/荒聖治 1’00.218

11 18 GT3 Pro-Am ポルシェセンター岡崎 ポルシェ911 GT3 R(992) 永井宏明/上村優太 1’02.021

12 555 GT3 Pro-Am マエザワ・レーシング フェラーリ488 GT3 P.ブロムバクディ/横溝直輝 1’02.989

13 72 GT3 Pro-Am ハブオート・レーシング ポルシェ911 GT3 R(992) M.チェン/A.パレンテ 1’06.708

14 85 GT3 Pro-Am クラフト・バンブー・レーシング メルセデスAMG GT3 EVO J.リー/M.ゲーツ 1’09.067

15 22 GT3 Pro-Am KCMG ホンダNSX GT3 EVO P.イップ/E.リベラティ 1’14.424

16 14 GT3 Pro-Am ハブオート・レーシング・ウィズ・GTO ポルシェ911 GT3 R(992) B.リー/安岡秀徒 1’17.010

17 333 GT3 Pro-Am ファントム・プロ・レーシング アウディR8 LMS GT3 EVO II X.アン/M.マック 1’25.347

18 888 GT3 Pro-Am トリプルエイトJMR メルセデスAMG GT3 EVO H.H.プリンス・アブドゥル・ラーマン・イブラヒム/B.フィーニー 1’27.283

19 25 GT3 Pro-Am NKレーシング ポルシェ911 GT3 R(992) 内山清士/近藤翼 1’35.434

20 13 GT3 Pro-Am アウディスポーツ・アジア・チーム・アブソリュート アウディR8 LMS GT3 EVO II S.ジンズー/F.チェン 1’57.200

21 17 GT3 Pro-Am クレフモータースポーツ マクラーレン720S GT3 久保田克昭/三宅淳詞 2’36.431

22 60 GT3 Pro-Am LMコルサ フェラーリ488 GT3 中西慧/脇阪薫一 1Lap

23 51 GT3 Am AMACモータースポーツ ポルシェ911 GT3 R(991.1) A.マクファーソン/W.ベン・ポーター 1Lap

24 33 GT3 Pro-Am チームGMB メルセデスAMG GT3 EVO 羽田野宏明/細川慎弥 1Lap

25 7 GT3 Am コメット・レーシング フェラーリ488 GT3 山﨑裕介/辻子依旦 1Lap

26 29 GT3 Silver ファントム・プロ・レーシング アウディR8 LMS GT3 EVO II L.カン/C.チー 1Lap

27 8 GT3 Pro-Am EBM ポルシェ911 GT3 R(992) S.サントソ/R.ハーカー 1Lap

28 3 GT3 Am クライマックス・レーシング メルセデスAMG GT3 EVO B.イェ/H.ユーチー 1Lap

29 360 GT3 Am ランアップ・スポーツ ニッサンGT-RニスモGT3 西川正明/田中篤 2Laps

30 50 GT4 Silver-Am YZレーシング・ウィズ・BMWチーム・スタディ BMW M4 GT4 G82 加納政樹/織戸学 3Laps

31 500 GT3 Pro-Am チーム5ZIGEN ニッサンGT-RニスモGT3 HIROBON/川端伸太朗 4Laps

32 718 GT4 Am チェックショップ・ケイマニア・レーシング ポルシェ・ケイマン718 GT4 RSクラブスポーツ 大塚直彦/小林翔 4Laps

33 19 GT3 Am ジ・スピリット・オブ・FFFレーシング ランボルギーニ・ウラカンGT3 EVO 大蔵峰樹/白坂卓也 4Laps

NC 71 GT4 Silver-Am アキランド・レーシング トヨタGRスープラGT4 大山正芳/阪口良平 24Laps

NS 16 GT3 Silver ABSSAモータースポーツ マクラーレン720S GT3 澤圭太/井上雅貴

スチュワード裁定28:CarNo.13 – アウトオブポジションスタートによるドライブスルーペナルティ
スチュワード裁定29:CarNo.51 衝突の原因によるドライブスルーペナルティ
スチュワード裁定30:CarNo.333 – 衝突の原因によるストップ&ゴーペナルティ
スチュワード裁定31:CarNo.8 – 衝突の原因によるドライブスルーペナルティ
スチュワード裁定32:CarNo.8 – FCY中に時速80kmに減速しなかったため33秒のタイムペナルティ
スチュワード裁定33:CarNo.718 – ピットレーン速度超過のため33秒のタイムペナルティ
スチュワード裁定34:CarNo.3 – 衝突を引き起こしたとして33秒のタイムペナルティ
スチュワード裁定36:CarNo.3 – 衝突の原因となったため33秒のタイムペナルティ
スチュワード裁定37:CarNo.17 – FCY中に時速80kmに減速しなかったため33秒のタイムペナルティ
スチュワード裁定38:CarNo.360 – ピットストップ違反により20秒のタイムペナルティ
※CarNo.888:ピットストップ後にトランスポンダーが作動していない

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