「映像が、遅れて、映し出されるよ」 石川遼が練習場で使う2つのタブレットとアプリ

石川遼の練習には最近タブレットが欠かせない(撮影/松本朝子)

27日(木)開幕の「日本プロゴルフ選手権」(北海道・恵庭CC)まで3週のオフに入った国内男子ツアー。賞金ランキングで現在10位の石川遼は今シーズン、試合会場の内外を問わずドライビングレンジに新しい練習スタイルを持ち込んでいる。

後方のタブレットでスイングを撮影。足元のタブレットでチェックする(撮影/松本朝子)

スマートフォンが登場してからは、ゴルファーがコースや練習場で自身のスイング動画をチェックする姿がプロ、アマを問わず一般的になった。石川にとってもスイングの研究はライフワークとも言え、これまでは打席の後方からキャディやコーチに動きを撮影してもらい、ショット直後に彼らに歩み寄って映像を“巻き戻して”確認する毎日を過ごしていた。

足元のタブレットですぐに直前の動きを見る(撮影/松本朝子)

それが今年は打席の後方と、練習用のボールが並ぶ足元にそれぞれ1台ずつタブレットを置くようになった。後方に三脚を立てて設置したタブレットカメラでスイングを撮影し、動画を、画面ミラーリング機能(スマホやタブレットの画面を他のデバイスで映し出す機能)で足元のタブレットに同時表示させて動きをチェック。映像を流しっぱなしにすることで、ショットのたびにコーチやキャディのもとに向かい、スマホを受け取る必要がなくなった。

タブレットに映る動画は実際の動きよりも数秒遅く流れる(撮影/松本朝子)

ただ画面をミラーリングで別の端末に表示するだけでは、直近のスイングを“手ぶら”で確認することはできない。当たり前だが、撮影はスイングと同時進行しているからだ。

ここで役立つのが、今季途中に取り入れた「Golfboy」という打球計測アプリ。スマホ1台で弾道が計測できるという代物で、石川はスイングチェック目的でダウンロード(弾道測定は別の機器を使用)。アプリがアドレスからフィニッシュまでの動きを認識し、撮影から数秒後(石川の場合は約5秒後)に画面で再生される。

田中剛コーチとのスイングチェックは続く(撮影/松本朝子)

実際の動きよりも映像が遅れて流れ、次のショットに入るまで、同じ映像が繰り返されるため、撮影した動画を巻き戻して見る手間が省けた。石川は「少し前までは(田中剛)コーチが2つのアプリを駆使して、“アナログ”で映像が遅れて流れるようにしてくれていたんです。でも、それがこのアプリ1つでできることが分かって。練習の効率がめちゃくちゃ良くなりました。『今の(動きの)感覚ではこうなっているんだ』と気づけて、見たものをすぐに再現しやすいのもある」と説明した。

ツアー再開戦は7月下旬の日本プロ(撮影/松本朝子)

コロナ禍での大胆なスイング改造を経て、石川の動きは数年前から様変わりした。昨年11月に「三井住友VISA太平洋マスターズ」で優勝はしたが、完成形とはまだ言えない。「インパクトでの手元の位置、肩の位置と腕との関係性…。理想の、自分のイメージしているところにクラブがあるかというポジションのチェック」は進行中。「3週間(のオフ)でがっつり、テコ入れをしたい」と中盤戦に向けて鍛錬を重ねている。(編集部・桂川洋一)

・Golfboy(ゴルフボーイ)
iPhone1台で打球計測、スイング解析が可能なiOSアプリ。株式会社Qonceptが2021年3月に初版をリリースした。無料ダウンロード後、月額500円ですべての機能が利用可能。

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