記録的な大雨による災害の頻発化を踏まえ、茨城県と同県東海村は16日、河川氾濫を想定した「避難力強化訓練」を実施した。浸水被害が予想される地域を対象に、適切なタイミングの避難情報の発令や、住民があらかじめ作成した個別の避難計画「マイ・タイムライン」による避難、さらに避難所設営などの訓練を行い、行政と住民などがそれぞれ災害時に取るべき行動を確認した。
県内では6月初め、台風2号や梅雨前線の影響により、同県取手市双葉地区などで浸水被害が発生。県は本年度、洪水被害の恐れがある約43万世帯を対象として、県内全市町村で避難訓練を順次行う。
この日は、東海村の久慈川流域にある石神内宿、石神外宿、竹瓦、亀下、豊岡の5地区の住民約80人と関係機関の計約195人が参加。災害対策本部設置や情報伝達、住民避難、防災講習、避難行動要支援者への支援、避難所開設・運営などが展開された。
訓練は台風の影響による河川氾濫を想定。国土交通省常陸河川事務所や水戸地方気象台の担当者などが、村役場に設置された災害対策本部で今後の雨量や水位上昇の見通しについて報告。山田修村長が避難所開設や避難情報の発令などを判断し、指示を出した。
村内住民には防災行政無線などで情報を伝達。マイカーなどを使って冠水道路などを回避しながら村内2カ所の避難所に移動した。避難所では数日間に及ぶ事態も想定し、段ボールベッドやテントも組み立てた。
自宅が河川沿いという同村石神外宿、高槌要俊さん(73)、けい子さん(73)夫妻は「道路の水没を想定し、迂回して避難所に向かった。(豪雨の際は)水位の上昇を確認しながら避難時期を判断したい」と話した。
大井川和彦知事が視察に訪れ、「効率がよく効果の高い訓練をしてもらった。引き続き全市町村で実施できるよう努力していく」と強調。山田村長は「住民の行動を中心に考えた訓練ができた。災害時は国や県、村が適切に発信した情報を基に冷静な行動をお願いしたい」と述べた。