【子育て】ケガの処置に“消毒液”はNG!? 専門医が教える「令和の正しい応急処置法」

キャンプやバーベキュー、海水浴など、外遊びの機会が増える夏。

猛暑が予想される今年の夏は、いつも以上に熱中症も心配ですが、アウトドアのシーンでは突発的なケガも大いにあり得ます。そんなときに我が子に正しい応急処置を施せるのか、親としては不安もあるのではないでしょうか。

独自の技術で一般向けの絆創膏や医療向けのサージカルテープなどの製品を作っている「ニチバン」が行った「子どもの外遊びとケガに関する調査」をもとに、親たちの応急処置に対する意識を探りつつ、専門医が教える家庭でできる簡単な応急処置についてご紹介します。

子どもが怪我をした際の「万が一の応急処置」は6割以上の親が不安を感じている!

子どもの外遊びとケガに関する調査

2023年5月に、ニチバンが全国の3歳から小学6年生までの子どものいる男女400名に対して行った「子どもの外遊びとケガに関する調査」によれば、この夏アウトドアやレジャーに出かけたい親は90%以上。

もともと外遊びの機会が多い季節であることに加えて、コロナ禍による行動制限が解除された夏ということで、開放感からの結果なのかもしれません。

人気のアウトドアジャンルは1位がBBQで2位がキャンプ、そして海水浴やアスレチックと続きました。そんな中で不安に思うことといえば、季節柄「熱中症や脱水症状」はもちろん、「ケガ」と答える親も圧倒的に多い結果に。

BBQやキャンプは火を使いますし、海水浴は岩場でのケガや海難事故、アスレチックでは転倒や落下でのケガが想定されますよね。アウトドアシーンでは、安全に気を配っていても、ケガの可能性はどうしても高まります。

子どもの外遊びとケガに関する調査

そんな中、子どもがケガをしてしまったときに正しい処置ができると思うかという質問には、「どちらとも言えない」「どちらかというとそう思わない」「まったく思わない」という答えが過半数を占める結果に。

応急処置アイテムは「常に持ち歩く」人は36.3%、「たまに持ち歩く」人は38.3%と、4人に3人は何かしら持ち歩いていると考えられますが、逆に言えば4人に1人は持ち歩くことが少ないということに。

どんなアイテムを持ち歩いているか、という問いには「救急絆創膏」が圧倒的1位の95.3%を占めました。続く2位が「消毒液」、3位が「鎮痛剤」でしたが、このあたりは持ち歩いていたら「かなり用意のいい人」と思われるアイテムなのでは。

では、正しい応急処置に必要なアイテムは一体どこまでなのでしょうか?

外遊びで子どもが怪我をしたときの応急処置は?

調査をふまえて、日本小児科学会小児科専門医で日本小児科医会常任理事の塙佳生先生に、病院を受診する前の家庭での正しい応急処置のやり方について教えていただきました。

1:水道水で傷口をよく洗う

外傷でも軽い火傷でも、まずは水道水で患部をよく洗います。

今、人間が本来持っている自然治癒力を最大限に引き出す療法として「モイストヒーリング」が注目されているのだそう。別名を閉鎖療法または湿潤療法とも言われ、患部を湿ったまま密封する傷ケア方法を指します。

湿ったまま密封することで、傷口から細胞の成長や再生を促す成分が含まれる体液が出てきて、これを傷口に保持することで自然治癒力が引き出されるのだとか。傷が早く治るだけでなく、傷跡が残りにくいというメリットがあります。

「モイストヒーリング」のためには、まず傷口を洗ってばい菌をできるだけ流すことが重要です。

水をかけると傷口が痛むので子どもは嫌がりますが、最初の処置が肝心! 異物や細菌が残っていると感染の原因となるため、しっかりと洗浄してください。

2:傷口を抑えて止血する

傷口を洗い流してもまだ出血が続いている場合は、清潔なタオルやティッシュで傷口を抑えて止血を。火傷の場合は、氷水などで冷やします。

水ぶくれができている場合、無理に破る必要はありません。表皮と真皮の間に先ほどの体液がたまっている状態のため、そのままのほうが自然治癒力が高いそう。もし破いたらすりむき傷と同じ扱いになります。

最も重要なことが、消毒液を使うのはNG! なんとなく、傷=消毒液というイメージがありますよね。実際、アンケートでは応急処置のために持ち歩いているアイテムの2位が消毒液でした。

でも、その知識は昔のものなのだとか。今は、消毒することで皮膚再生に必要な細胞増殖因子の働きを阻害したり、傷口の細胞を殺してしまう恐れがあることから、モイストヒーリングで傷を治すなら消毒液は使わないほうがいいのだそう。

このお話には、筆者も目からウロコでした。昔は、ケガといえば保健室で消毒というイメージがありましたし、家にも消毒液を常備していたものです。

今後は傷口は洗い流して消毒はしない、と覚えておくといいですね。

3:救急絆創膏で傷口を保護する

モイストヒーリングの大敵は乾燥。傷口の乾燥を防ぐため、市販の絆創膏を使って保護します。絆創膏には乾燥防止はもちろん、傷口を清潔に保ったり、新たな傷ができるのを防いだりする効果もあります。

絆創膏は、傷口を全部覆える大きさのものを選びましょう。

さらに、体液を保持する素材の絆創膏が最も「モイストヒーリング」に効果的。おすすめの絆創膏をご紹介します。

「モイストヒーリング」に注目した絆創膏

ケアリーヴ™ 治す力™

調査を行ったニチバンの絆創膏「ケアリーヴ™ 治す力™」は、まさに「モイストヒーリング」に着目して生まれたもの。

ブランド名に「木の葉のようにやさしく包む」という思いが込められていて、伸縮性と通気性に優れていてはがれにくい「高密度ウレタン不織布」で作られた絆創膏です。

高い通気性が保たれながら、傷口にあてるパッド部分はウレタンフィルムがしっかりと防水してくれるため、水を通しません。そのため、傷口から出る体液を吸収・保持して、体液の働きによって傷が早くきれいに治るのだとか。

同じ「ケアリーヴ™ 治す力™」には防水透明タイプも。パット部分だけでなく全体が防水されているので、水仕事の多い方や、水に触れる機会の多い手先のケガに効果的。透明で目立たないので、できるだけ絆創膏を貼っていることをわからないようにしたい箇所などに貼るのにも最適です。

夏のお出かけには、絆創膏と清潔なタオル(もしくはティッシュ)、ペットボトルの水をマストで持ち歩いておくとよさそう。水は、熱中症対策としても必要です。

正しい応急処置法を知り、必要なアイテムを持ち歩いていれば、ケガを恐れず夏のアウトドアシーンを楽しめるはず。

もちろん、ケガが深いときや応急処置だけでは不安が残る場合は、早めにかかりつけの小児科を受診してくださいね。

(ハピママ*/ Mami Azuma)

© ぴあ朝日ネクストスコープ株式会社