荒れた展開のなかルンガーが力走見せポール・トゥ・ウイン【順位結果】インディカー第10戦トロント決勝

 カナダ・トロントの市街地で開催されているNTTインディカー・シリーズ第10戦トロント。7月16日に行われた決勝レースは、クリスチャン・ルンガー(レイホール・レターマン・ラニガン)がポール・トゥ・ウインを飾った。

 今回のレースは既報の通り、第9戦ミド・オハイオのプラクティス2で幾度もマシンが横転するクラッシュを喫したシモン・パジェノー(メイヤー・シャンク・レーシング)が、インディカーの医療チームから出走の許可を得られなかったため出場を取りやめており、代わりにトム・ブロンクビストが60号車をドライブしている。

 前日に行われた予選では、陽光と雨の入りまじる非常に不安定なコンディションとなっていたトロント市街地。迎えた決勝レースは、青空がのぞく晴天に恵まれたなかでスタートが切られた。

 難しい予選でトップタイムをマークし、今季2度目のポールポジションを獲得したルンガーを先頭に、隊列は1コーナーへと入っていく。

 トップ集団は、ソフト寄りのオルタネートタイヤを活かして好スタートを切ったルンガーに続いてクリーンにコーナーを抜けて行ったものの、一方後方では7台が絡む玉突きクラッシュが発生。レースは1周目からフルコースコーションが導入された。

 レースは10周目に再開。トップを走るルンガーは再び好スタートを決め、その後はハード寄りのプラオマリータイヤを選択した2番手のスコット・マクラフラン(チーム・ペンスキー)に対して徐々にギャップを広げ始める。

 19周目には、4秒のギャップを築いたルンガーが先頭集団でいち早く1度目のピットイン。オルタネートタイヤでスタートしたドライバーらはこのタイミングで続々とピットへ向かい、3番手を走行していたパト・オワード(アロウ・マクラーレン)もこのタイミングで1度目のピット作業を終えている。

 これで、プライマリータイヤを履くマクラフランはトップに浮上し、クリーンエアのなかで順調に周回を重ねていく。

 そして36周目にマクラフランはピットインを行い、プライマリータイヤに交換してルンガーの6秒後方、事実上の2番手でコースへ復帰する。

 レースも折り返しの42周が経過したタイミングで、12番手を走行していたロマン・グロージャン(アンドレッティ・オートスポート)がサイドウォールにクラッシュ。レースは2度目のフルコースコーションが導入された。

 46周目にレースは再開されるも、リスタート時に12番手を走行していたエリオ・カストロネベス(メイヤー・シャンク・レーシング)が接触によりハーフスピンを喫した影響で即座に3度目のフルコースコーションが導入された。

 トップを走行するルンガーは、スローラップ中の49周目にピットインを選択し、再びプライマリータイヤへと交換して6番手で隊列に復帰する。同じタイミングで3番手のオワード、4番手のエリクソンらもピットインを選択している。

 レースは52周目に再開。リスタート時には、中団勢では激しいバトルが繰り広げられたがいずれもクリーンに終始。その後は、オルタネートタイヤを使う首位マクラフランと2番手を走るスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ)が3番手のヴィーケイ以下に差を広げながら周回を重ねていく。

 60周目にヴィーケイはピットインを選択。この時、エアジャッキの作動不良が発生し大きくタイムロス。ヴィーケイは順位を大きく下げてしまい、3番手にはプライマリータイヤ勢トップのアレックス・パロウ(チップ・ガナッシ)が浮上した。続く61周目には、トップを走っていたマクラフランがピットイン。さらに2番手ディクソンも続いてピットインを選択する。

 このタイミングで、パロウとルンガーの3番手争いが接近し、ルンガーがオーバーテイクに成功して再び隊列のトップに返り咲いた。パロウの背後3番手には、レース序盤からパロウとともに着々と順位を上げてきたコルトン・ハータ(アンドレッティ・オートスポート)がつける展開に。

 その後、首位に立ったルンガーは快走を披露し、2番手パロウとの差を徐々に広げていく。10周後の72周時点でその差を約6秒にまで広げたルンガーは、余力を残してペースコントロールを開始。

 ルンガーは残る周回も危なげなく走り切り、2番手以下に10秒以上の差をつけてトップチェッカー。3回のフルコースコーションが導入された85周のサバイバルレースでポール・トゥ・ウインを達成し、待望のキャリア初優勝を挙げた。

 2位にはポイントランキング首位のパロウが入り、そのリードをさらに広げた。3位にはハータが続き、今シーズン初の表彰台獲得を果たしている。

■NTTインディカー・シリーズ第10戦トロント決勝レース結果(編集部集計)

Pos. No. Driver Team Engine Laps SP

1 45 C.ルンガー レイホール・レターマン・ラニガン H 85 1

2 10 A.パロウ チップ・ガナッシ H 85 15

3 26 C.ハータ アンドレッティ・オートスポート H 85 14

4 9 S.ディクソン チップ・ガナッシ H 85 7

5 2 J.ニューガーデン チーム・ペンスキー C 85 11

6 3 S.マクラフラン チーム・ペンスキー C 85 2

7 11 M.アームストロング チップ・ガナッシ C 85 10

8 5 P.オワード アロウ・マクラーレン C 85 3

9 15 G.レイホール レイホール・レターマン・ラニガン H 85 27

10 6 F.ローゼンクヴィスト アロウ・マクラーレン C 85 5

11 8 M.エリクソン チップ・ガナッシ H 85 4

12 78 A.カナピノ フンコス・ホーリンガー・レーシング C 85 18

13 21 R.ヴィーケイ エド・カーペンター・レーシング C 85 12

14 12 W.パワー チーム・ペンスキー C 85 6

15 27 K.カークウッド アンドレッティ・オートスポート H 85 8

16 7 A.ロッシ アロウ・マクラーレン C 84 26

17 14 S.フェルッチ A.J.フォイト・レーシング C 82 24

18 77 C.アイロット フンコス・ホーリンガー・レーシング C 81 16

19 51 S.R.ロブ デイル・コイン・ウィズ・RWR H 80 23

20 18 D.マルーカス デイル・コイン・ウィズ・HMD H 69 17

21 06 H.カストロネベス メイヤー・シャンク・レーシング H 45 13

22 28 R.グロージャン アンドレッティ・オートスポート H 41 9

23 29 D.デフランチェスコ アンドレッティ・スタインブレナー H 10 22

24 30 J.ハーベイ レイホール・レターマン・ラニガン H 0 19

25 60 T.ブロンクビスト メイヤー・シャンク・レーシング H 0 20

26 20 R.ハンター-レイ エド・カーペンター・レーシング C 0 21

27 55 B.ペデルソン A.J.フォイト・レーシング H 0 25

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