[地域発 未来へ]長野・JA信州諏訪宿根カスミ草部会 花の鮮度保持 出荷箱が威力

オリジナル資材「花カーゴ」を使った宿根カスミソウを検査する職員(長野県原村で)

オリジナル資材「花カーゴ」を使った宿根カスミソウを検査する職員(長野県原村で) 長野県のJA信州諏訪花き専門委員会宿根カスミ草部会は、鮮度を保持できるオリジナル出荷資材「花カーゴ」を導入し、市場から高い評価を得ている。せりの前々日に全箱を開封検査し、市場に出荷情報をより早く発信する「3日目販売」の一環。市場側に余裕ができて売り込みやすく、有利販売につながる。同資材での出荷は2年目を迎えた。

処理液1・8倍に 市場から好評

「花カーゴ」での出荷形態 「花カーゴ」は、縦99センチ×横29センチの組み立て式の段ボール箱に、茎を立てるため中央に穴を開けて処理液を入れるポリ袋を貼り付ける。従来のプラスチック資材に比べて1・8倍となる900ミリリットルの処理液が入るので、これまでより1日遅い出荷3日目の販売でも鮮度を保てるのが利点だ。昨年8月、資材メーカーの協力を得て導入した。

今年は、6月下旬に開いた第1回出荷査定会で、この荷造り方法を徹底。生産者は、クラフトテープを使って出荷箱に「花カーゴ」を固定することや、処理液量の厳守を確認した。2023年度は全生産者35人が初出荷時からこの資材を使い、管内産宿根カスミソウの有利販売を目指す。

「花カーゴ」は関係者からの評価も高い。大阪府で花き卸売り市場を運営する西日本花き切花営業部の藤倉達朗課長は「プラスチック資材を使った場合は、茎が処理液に漬かり切らなかったり、輸送時に処理液が漏れたりすることがあった」と指摘。その点、「花カーゴ」は問題なく、高品質な宿根カスミソウが届き、「3日目販売で販売先も見つけやすい」と強調する。

生花店からも「プラスチック資材より処分しやすい。花も取り出しやすくて助かると好評」(藤倉課長)という。

部会役員の小林隆幸さん(72)は「組み立てが必要な分、慣れるまでは少し大変。しかし、市場や生花店から好評と聞き、導入した意義を感じている。生産者全員で、JA信州諏訪の宿根カスミソウを守っていきたい」と話している。

地元でうまい店

ルバーブでにっこり 菓子工房 ル・キャトル・セゾン(長野・富士見町)

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