【米ビルボード・アルバム・チャート】テイラー・スウィフト、『スピーク・ナウ』再録版初登場1位&約57年ぶりの快挙達成

テイラー・スウィフトの『スピーク・ナウ(テイラーズ・ヴァージョン)』が1位に初登場した、今週の米ビルボード・アルバム・チャート。

『スピーク・ナウ(テイラーズ・ヴァージョン)』は、2010年10月にリリースした3rdアルバム『スピーク・ナウ』の再録版で、2021年に発表した『フィアレス(テイラーズ・バージョン)』、『レッド(テイラーズ・ヴァージョン)』に続く3作目の再録アルバム。本作には、オリジナルに収録されたナンバーに加え、フロム・ザ・ヴォルトと名付けられた未発表曲を含む全22曲が収録されている。

テイラーは、現在開催中のツアー【The Eras Tour】の米ナッシュビル公演(5月5日)で『スピーク・ナウ(テイラーズ・ヴァージョン)』のリリースを発表し、公式ウェブサイトでの予約をスタートした。本作は、2023年7月7日にフィジカルが2枚組CD、2枚組カセットテープ、3種のアナログ盤がリリースされていて、通常版のデジタル・ダウンロード、ストリーミングも同日に配信されている。

今週の集計期間(2023年7月7日~7月13日)最終日の13日には、公式ウェブサイトでデラックス版のデジタル・ダウンロードも配信されていて、デラックス版にはツアー中にレコーディングされた「ディア・ジョン (Live From Minneapolis)」と「ラスト・キス (Live From Kansas City)」のライブ音源2曲が収録されている。

また、リリース日の7月7日に開催された米カンザスシティ公演では、新曲「アイ・キャン・シー・ユー(フロム・ザ・ヴォルト)」のミュージック・ビデオを初公開した。同ビデオには、元恋人のテイラー・ロートナー、ジョーイ・キング、プレスリー・キャッシュの3人も出演していて、話題を呼んでいる。

『スピーク・ナウ(テイラーズ・ヴァージョン)』は、初週アルバム・セールスが507,000、アルバム・ストリーミングが206,000、トラックによるユニットは3,000をそれぞれ記録して、累計716,000ユニットを獲得した。週間ストリーミングは全22曲で2億6,933万回を記録している。

716,000ユニットは、2023年3月18日付でモーガン・ウォレンの『ワン・シング・アット・ア・タイム』が記録した501,000を上回る2023年最大の週間ユニットで、週間セールス(507,000枚)も、6月17日付でStray Kidsの『★★★★★(5-STAR)』が記録した235,000枚を大きく上回り、現時点での最高記録を更新した。それ以前の最高記録は、2022年11月5日付で自身の『ミッドナイツ』が記録した1,580,000ユニットと1,140,000枚で、約半年ぶりに自身で記録を塗り替えたことになる。

週間ストリーミング206,000(2億6,933万回)は、前述の『ワン・シング・アット・ア・タイム』が3月18日付で記録した382,000(4億9,828万回)、2週目の3月25日付で記録した234,000(3億806万回)に続く今年3番目に高い記録で、デビュー週としては2番目、女性アーティストでは現時点での最高記録を打ち出している。

テイラーは、今週『スピーク・ナウ(テイラーズ・ヴァージョン)』以外にも『ミッドナイツ』が5位、『ラヴァー』が7位、『フォークロア』が先週の13位から10位に上昇して、TOP10に4作を送り込んでいる。

TOP10に存命の同じアーティストの作品が同時(同週)に4作ランクインしたのは、ハーブ・アルパートの『ゴーイング・プレイシズ』(2位)、『ホイップド・クリーム&アザー・ディライツ』(3位)、『国境の南』(9位)、『悲しき闘牛』(10位)がランクインした1966年4月2日付以来、約57年ぶりの快挙。なお、2016年5月14日付では訃報を受けて故プリンスの作品が5作同時にランクインしたことがあり、現時点ではその5作が最多記録だが、モノラル・アルバムとステレオ・アルバムの集計を合算した1963年8月以降、女性アーティストでは今週テイラーが達成した4作が最多記録となる。

テイラーは、『スピーク・ナウ(テイラーズ・ヴァージョン)』で以下に続く通算12作目の首位を獲得し、女性アーティストでは同11作で並んでいたバーブラ・ストライサンドを抜き、歴代トップに立った。

『フィアレス』 (2008年)
『スピーク・ナウ』 (2010年)
『レッド』 (2012年)
『1989』 (2014年)
『レピュテーション』 (2017年)
『ラヴァー』 (2019年)
『フォークロア』 (2020年)
『エヴァーモア』 (2020年)
『フィアレス(テイラーズ・バージョン)』(2021年)
『レッド(テイラーズ・ヴァージョン)』(2021年)
『ミッドナイツ』(2022年)
『スピーク・ナウ(テイラーズ・ヴァージョン)』(2023年)

Billboard 200の集計が始まった1956年3月以降、男性アーティストを含めての歴代トップは19作を記録したザ・ビートルズで、続いてジェイ・Zの14作、テイラーは同12作をもつドレイクと並び3番目の記録に達した。

上記のとおり、テイラーは『ラヴァー』 (2019年)から『スピーク・ナウ(テイラーズ・ヴァージョン)』(2023年)まで5年連続で首位を獲得していて、女性アーティストでは2006年から2009年まで4年連続を達成したマイリー・サイラスを上回り、歴代トップに立った。男性アーティストでは、トップがザ・ビートルズの7年連続(1964~70年)で、ポール・マッカートニー(1973~77年)、ジェイ・Z(2000~04年)、ドレイク(2015~19年)の3組がそれぞれ5年連続で2番目の記録に並んでいる。

ストリーミングが集計に加算されるようになった2014年12月以降では、自身の『レッド(テイラーズ・ヴァージョン)』が2021年11月27日付で記録した605,000を上回り、カントリー・アルバム最大の週間ユニットを更新。週間セールスは、2013年8月31日付でルーク・ブライアンの 『クラッシュ・マイ・パーティ』が記録した528,000枚以来の最高売上を達成した(カントリー・アルバムの定義はカントリー・アルバム・チャートにランクインした作品とする)。

自身の再録版としても、2021年4月24日付で『フィアレス(テイラーズ・バージョン)』が記録した291,000、前述の『レッド(テイラーズ・ヴァージョン)』(605,000)を上回り、現時点での週間最高ユニット数を更新している。なお、『レッド(テイラーズ・ヴァージョン)』はサイン入りのCDがリリースされていたが、『フィアレス(テイラーズ・バージョン)』にはサイン入りのCDやアナログ盤の売上は含まれていない。

2019年1月以降の週間ユニット数としては、上位5週のうち4週をテイラーの作品が占めていて、その他のアーティストで該当したのは、2022年12月4日付で839,000を記録したアデルの『30』1作のみだった。

1,580,000ユニット『ミッドナイツ』(2022年11月5日付)
867,000ユニット『ラヴァー』 (2019年9月7日付)
846,000ユニット『フォークロア』 (2020年8月8日付)
846,000ユニット『フォークロア』 (2020年8月8日付)
716,000ユニット『スピーク・ナウ(テイラーズ・ヴァージョン)』(2023年7月22日付)

週間セールス507,000枚の内訳、アナログ盤の売上枚数は268,500枚で、ルミネートが集計を始めた1991年以降のアナログ盤の週間セールスとしては、自身の『ミッドナイツ』が初週(2022年11月5日付)で記録した575,000枚に次ぐ2番目に高い売上枚数を達成している。

現時点での2023年の総セールス(ストリーミングは含まない)1位は『ミッドナイツ』の636,000枚で、『スピーク・ナウ(テイラーズ・ヴァージョン)』は初週の売上だけで2番目に高い売上枚数を叩き出している。なお、『ミッドナイツ』は昨年の年間売上トップで、2022年だけで1,818,000枚を売り上げた。

ルミネートが集計を始めた1991年以降、テイラーは1週間で50万枚以上を売り上げたアルバムを『スピーク・ナウ(テイラーズ・ヴァージョン)』で9作目に更新していて、史上最多記録を更新している。

チャートに戻り、先週2位にダウンしたモーガン・ウォレンの『ワン・シング・アット・ア・タイム』は今週も同位をキープ。週間ユニットは前週から6%減少の104,000に若干数落ちたが、初登場から19週連続で10万ユニットを突破した。

3月18日 501,000ユニット(1位)
3月25日 259,000ユニット(1位)
4月1日 209,500ユニット(1位)
4月8日 197,000ユニット(1位)
4月15日 173,000ユニット(1位)
4月22日 167,000ユニット(1位)
4月29日 166,000ユニット(1位)
5月6日 149,000ユニット(1位)
5月13日 138,000ユニット(1位)
5月20日 141,000ユニット(1位)
5月27日 134,500ユニット(1位)
6月3日 129,000ユニット(1位)
6月10日 126,000ユニット(2位)
6月17日 117,000ユニット(2位)
6月24日 111,500ユニット(1位)
7月1日 110,000ユニット(1位)
7月8日 110,500ユニット(1位)
7月15日 111,000ユニット(2位)
7月22日 104,000ユニット(2位)

先週1位に初登場したリル・ウージー・ヴァートの『ピンク・テープ』は、初週から64%減少の61,000ユニットに急落し、今週3位にダウン。ペソ・プルマの『Génesis』(59,000ユニット / 14%減少)も3位から4位に順位を下げた。

テイラー・スウィフトの『ミッドナイツ』も4位から5位にランクダウンしたが、ユニット数は2%増加の55,000に上昇している。また、『ラヴァー』は3%増加の45,000ユニットを記録して先週の8位から7位に上昇し、『フォークロア』 も5%増加の33,000ユニットを獲得して、13位から10位にTOP10復帰した。『フォークロア』のTOP10入りは、2021年8月7日付以来、約2年ぶりとなる。

以下、モーガン・ウォレンの『デンジャラス:ザ・ダブル・アルバム』(46,000ユニット / 4%減少)は5位から6位、ガンナの『a Gift & a Curse』(42,000ユニット / 3%減少)も7位から9位にそれぞれ順位を下げた。

Text: 本家 一成

※関連リンク先の米ビルボード・チャートは7月21日以降掲載予定となります。

◎【Billboard 200】トップ10
1位『スピーク・ナウ(テイラーズ・ヴァージョン)』テイラー・スウィフト
2位『ワン・シング・アット・ア・タイム』モーガン・ウォレン
3位『ピンク・テープ』リル・ウージー・ヴァート
4位『Génesis』ペソ・プルマ
5位『ミッドナイツ』テイラー・スウィフト
6位『デンジャラス:ザ・ダブル・アルバム』モーガン・ウォレン
7位『ラヴァー』テイラー・スウィフト
8位『SOS』シザ
9位『a Gift & a Curse』ガンナ
10位『フォークロア』テイラー・スウィフト

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