一万人プール、リゾートの核として進化 年間通して楽しめる場所に  海なし県の海として 開業50年㊦

いがしらリゾートとしての整備が進む井頭公園周辺。一万人プールは、その核としての役割を担っていく=ドローンから

 テントやハンモックが並ぶ広場に大勢の家族連れの笑顔があった。井頭公園周辺の各施設が連携した初の合同イベント「いがしらリゾート・アウトドアフェス」。2022年11月、一万人プール南側の真岡市勤労者研修交流施設「いちごチャットパレス」芝生広場を主会場に開かれた。

 主催は市や県、市観光協会、施設管理者などが20年に設立した「いがしらリゾート活性化協議会」(発足時は井頭周辺エリア活性化協議会)。井頭公園周辺一帯をリゾートと位置付け、「各施設を巡り、自然豊かな魅力を体感してもらおう」と企画した。

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 リゾートエリアには一万人プールを核とした井頭公園を中心に、チャットパレス、真岡井頭温泉、農産物直売所「あぐ里っ娘」、井頭観光いちご園がある。一帯の魅力向上を目的に、施設間の連携を図るために協議会が組織された。

 「多くの人に来てもらい、皆が誇りに思える場所にしたい」。市プロジェクト推進課井頭周辺整備係の本城谷諭(ほんじょうやさとし)係長(43)は目指す方向性を示す。

 市は協議会発足後の20、21年度、チャットパレスにグランピング施設としてドームテントを整備。若年層の支持を得て、本年度中には新たにトレーラーキャビンも設置する。イチゴ狩りシーズン以外の誘客につなげるため、今月8日には「あぐ里っ娘」東側へ収穫体験農場もオープンさせた。

 年間を通して楽しめる場所にしようと、協議会は秋の誘客策として、10月に2日間の大規模なアウトドアフェスを計画している。

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 リゾート全体の魅力向上は、井頭公園にとっても重要な意味を持つ。公園の運営は県からの指定管理料に加え、一万人プールなどの利用料収入が支えている。周辺一帯に新たな人の流れが生み出されることは、持続的な運営を後押しする。

 「プール以外にもアスレチックやボート池、バラ、紅葉、野鳥など四季を楽しめる要素がたくさんある」。井頭公園管理事務所の大森計(おおもりけい)さん(52)は説明する。レジャープール業界が逆風にさらされているが、一万人プールが今後も核となる施設であることに変わりはない。大森さんは「近隣施設と連携しながら相乗効果を生み出したい」と力を込める。

 一万人プール誕生から半世紀。時の流れにもまれながらも生き抜いてきた「海なし県の海」は、異なる魅力を備えた施設と手を携え、新たな半世紀へと歩みを進める。

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