消えゆく妖怪の姿、世界へ紹介 米国人絵師、福井で活躍

マット・マイヤーさんの作品「柴田勝家の亡霊」

 KappaにNekomata、Byakko―。福井市在住で、米国出身の妖怪絵師マット・マイヤーさん(40)が英語で紹介するもののけたちが、世界で注目を集めている。描き下ろした4冊の図鑑はフランス語などでも出版され、累計2万冊売れたという。現在、福井に伝わる昔話から着想を得た作品を同市内で展示中。「口承が途絶え、消えていく妖怪を少しでも残したい」と話す。

 米国の美術大在学中に日本美術に関心を持ち、2004年に初来日。07年に英語教師として福井県越前市に移り住んだ。絵師になったきっかけは09年。ハロウィーンに「日本のモンスターを紹介しよう」と思い立ち、自身のブログに妖怪のイラストを載せたところ、海外から100件超のコメントが付いた。

 12年に100種類以上の妖怪を絵と英文で紹介した初の図鑑を刊行。予想以上に売れ、妖怪専門の絵師となった。

 昨年末、福井県文書館の研究者から声がかかり、地元で伝わる奇談、怪談を元に「東尋坊の悪霊」といった作品を制作した。8月23日まで同館で無料展示している。

マット・マイヤーさんの作品「Byakko」
「柴田勝家の亡霊」(左端)などの作品とマット・マイヤーさん=6月、福井市の福井県文書館

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