Petit Brabancon、【Tour 2023「INDENTED BITE MARK」】が開幕

Petit Brabanconが2023年7月12日に東京・Zepp DiverCityにて約3か月半ぶりのライブを行なった。

これは6月14日に発表したファーストEP『Automata』のリリースに合わせる形で開催する全国ツアー【Petit Brabancon Tour 2023「INDENTED BITE MARK」】の初日にあたるもの。

19時過ぎ、「Automata」のM-1「mind-blow」が流れ始めると同時に大量のスモークが吹き上がり、青い照明が点滅。幻想的というよりも、雲の中で稲光が光っているような光景でもある。嵐が巻き起こる予兆。その嵐をつかさどる主たちがステージにゆっくりと現われた。antz(G)、高松浩史(B)、yukihiro(Ds)、ミヤ(G)。それぞれの姿がスモークの中から浮かび上がるたび、フロアからでかい歓声が湧き上がる。最後に京(Vo)が姿を現わしたとき、その歓声は絶叫となって会場を揺るがした。

直後、ステージは照明で真っ赤に染まった。ヘヴィなシーケンスが流れる中、京がシャウトをとどろかせ、一気にバンド・サウンドを放射するPetit Brabancon。

オープニングからの流れで『Automata』に入っている「孤動」が来るだろう、と構えているオーディエンスも多かったが、Petit Brabanconが1曲目に持ってきたのは新曲。しかもライブ直前にタイトルが「BATMAN」と決まったばかりの真っ新な新曲である。

重厚にしてキレ味のいいリズムやギター・リフに、シャウトやグロウルも織り交ぜながら攻撃しまくる京。メンバーそれぞれがプレイしながら何度もフロアに鋭い視線を投げかけ、オーディエンスをさらに刺激。コブシや歓声をあげ、興奮でブチ上がっていくオーディエンス。一瞬にして一体化できるコーラスも随所にあり、声を張り上げながら曲やPetit Brabanconとひとつになっていくオーディエンスの姿がフロアに広がる。「イケるのか!」そう咆哮しながら次の曲へ突入。リズムに合わせハンドクラップも巻き起こり、ヘヴィな曲にパーカッシブな響きも加えながら展開。

それでも京は「オマエら、そんなもんか!」と、さらなる爆発や暴発を要求する。そして曲を次々に叩きつける中、こうも叫んだ。「オマエら、今、自由なんだよ! 掛かって来い!!」コロナ禍の様々な要請も解かれ、フルキャパで声出しも自由になってからの初ワンマンが、Petit Brabanconにとってこの日のライブでもある。常々、ライブのために曲を作っている、ライブをやらなければ作品や曲の持つ本当のパワーや凶暴性が分からない、と発言してきたメンバー。不自由な制限もなくなり、ようやく各曲を晴れの舞台に立たせた格好だ。いわば曲が呼吸を始めたライブ。

序盤では各曲の手触りを楽しむようにプレイに集中するミヤ、antz、高松、yukihiro。野性味あふれるヘヴィさも、世界に引きずり込む呪術的サウンドも、無機質ともいえる冷酷さも、自由自在に操りながらオーディエンスの気持ちも彼らは支配していった。ステージのセンターに立つ京は、血管を思わせる真っ赤なマイク・シールドを腕に巻き付け、激しい動きでシールドを宙に舞わせながら、言葉を突きつけていく。

音源という形になっている曲がほとんどだが、ライブとなれば話は別だ。呼吸を始め、新たな生命力も宿らせながら、サウンドや歌詩の言葉ひとつずつが炸裂していく。アルバム『Fetish』やEP『Automata』をすでに全身に染みわたらせていたオーディエンスだが、激しい鼓動や緊張感は治まることがない。各曲が放つ新たな生命力と衝動は、オーディエンス一人ずつを奮い立たせていくばかり。

「オイ、足んねぇよ! 好き放題、暴れてこい!」

ライブ後半、そう叫ぶ京。すると、どうだ。激しさを増していくのはフロアを埋め尽くすオーディエンスだけではない。ミヤ、antz、高松もステージを激しく動き回りながら、プレイでもオーディエンスを挑発し続ける。yukihiroは曲に入り込み、さらに研ぎ澄ませたドラミングを展開。

「化けの皮、剥がしちまえ! 掛かって来い!!」

ラスト・ナンバーを叩きつけていくPetit Brabancon。随所から火花が上がり、その煙があたり一面を覆いつくしていく。そんなステージで暴れ狂うようにライブ・パフォームを決めながら、容赦なくラウドなサウンドをまき散らす5人がいた。

暴動のような60数分間の出来事。曲のレンジの広さを見せつけながらも、常に覚醒させ続けるバンド・サウンドと歌。【Petit Brabancon Tour 2023「INDENTED BITE MARK」】という名のとおり、Petit Brabanconの噛みつき方といい、生々しいほどの傷跡といい、すさまじいライブとなった。

Photos:青木カズロー/尾形隆夫(尾形隆夫写真事務所)
Text:長谷川幸信

◎公演情報
【Petit Brabancon Tour 2023「INDENTED BITE MARK」】
2023年7月17日(祝・月)大阪 Zepp Osaka Bayside
2023年7月22日(土)宮城 SENDAI GIGS
2023年7月23日(日)神奈川 KT Zepp Yokohama
2023年7月29日(土)福岡 Zepp Fukuoka

※終了済の公演は割愛

<チケット料金>
SSスタンディング(前方エリア・オリジナル特典付き):25,000円(税込・整理番号付き・ドリンク代別)
一般スタンディング:8,800円(税込・整理番号付き・ドリンク代別)
2階SS指定席(2階席前方エリア・オリジナル特典付き):25,000円(税込・ドリンク代別)
2階指定席:8,800円(税込・ドリンク代別)

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