ロシア、黒海の穀物合意を離脱 ウクライナからの輸出停止

ウクライナ南部オデッサ州の穀物輸出港で作業する重機=4月26日(AP=共同)

 ロシアのペスコフ大統領報道官は17日、侵攻を続けるウクライナからの黒海を通じた穀物輸出を実現している両国とトルコ、国連の4者合意は「機能を停止した」と述べ、同日が期限切れだった合意の延長に同意しないと表明した。ロシア外務省は同日、関係3者に延長反対を通告した。事実上の合意離脱とみられ、黒海からの穀物輸出は停止される。

 ペスコフ氏は、合意の一部であるロシア産穀物などの輸出正常化に関する約束が実行されていないと批判。「履行されれば直ちに合意に復帰する」と主張したが、具体的な見通しは立っていない。合意に基づく穀物輸出が再開できない可能性もある。

 ウクライナは世界有数の穀物輸出国。黒海からの積み出し停止で小麦などの国際価格が再び高騰し、同国産への依存度が高い中東やアフリカ諸国で食料危機の懸念が再燃する恐れが出てきた。

 ロシア外務省は、18日以降は黒海での民間船の安全航行を保証せず、トルコに設置された「合同調整センター」は解散されるとの声明を出した。(共同)

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