「全員の思いが聞こえ魂が震えた」掛川西高 “応援改革”進めた団長が挑む夏の高校野球初戦

2023年の夏の高校野球は4年ぶりに声出し応援が解禁されました。70年以上の歴史を持ちながら、春はたった1人でスタートした掛川西高校応援団指導部。団長がスタンドで挑む最後の夏を追いました。

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<掛川西高校応援練習(6月)>

「今までのすべてを出して全力でやってください」

「はい!」

第75代掛川西応援団指導部団長の村松真広さん。70年以上守り継がれてきた一糸乱れぬ野球応援を夏の(甲子園の)アルプススタンドで展開することが使命です。

<掛川西高校応援練習(6月)>

「掛高!掛高!」

第75代掛川西応援団指導部団長の村松真広さん

2023年4月、動き出した掛西応援団。前年の新入部員はゼロ。新型コロナによる声出し応援の禁止の中で、村松団長は毎日2時間、たった1人で応援のフリを繰り返してきました。

23年は伝統のバンカラを改め、初めて女子部員の入部も認め4人が加わりました。

<掛川西応援団指導部 村松真広団長>

「葛藤はありましたが、応援団指導部の根本の部分は守り抜き、部活を存続させることを第一に考えました」

毎年1年生は、昼休みや放課後など限られた時間を使って20種類の演舞を覚えます。

<教室での応援練習>

「返事、頑張れ!もっと出せる!」

掛西の名物だった昔ながらの厳しい指導を封印。出し惜しみしない大きな声、気持ちを込めた大きな手のフリを指導します。

村松団長は1年生が困らないようにと、解説付きの動画を作成し1年生全員に配りました。2か月間続いた応援練習の最後に、村松団長は、その思いを初めて1年生に伝えます。

<掛川西応援団指導部 村松団長>

「この掛川西高校では生徒全員が応援団員です。生徒全員で共に戦うのはこの掛川西高校が誇る独自の文化であると思っています。自分はそれを絶対に今ここで絶やしてはいけないと思っています」

村松団長は声出し応援の復活に合わせ、チアリーダーとのコラボ応援をすることを決めました。70年以上の歴史で初めてのことです。チアを担当するダンス部の3年生は野球応援のために部活引退を伸ばしました。

<掛川西高ダンス部部長 望月葉奈さん>

「いままで1年生の時とか(新型コロナで)あまり発表の機会とかがなかったりしたので、チアもできれば発表の機会も増えるし、チアも入って声出しの応援も解禁されればもっと盛り上がるかなって」

<掛川西応援団指導部 村松団長>

「こんなにも心強い味方は、ほかにはいないと思います。必ず野球部全員の背中を甲子園まで熱く力強く押し上げられる応援をしたいと思います」

<応援練習>

「が〜んばれ!が〜んばれ!かんばれ掛高〜!」

<試合開始のサイレン>

7月16日、第5シードの掛川西高校野球部の対戦相手は、前年準優勝の静清高校です。

<掛川西応援団指導部 村松団長>

「心臓が飛び出そうな気持ちがありましたが、応援に来てくださった皆さんの熱い思いが自分のそばで聞こえてきて、魂が震えました」

試合は、両者譲らず4-4の同点で迎えた7回、バッターは6番小原。掛西応援団から惜しみない全力のエールが送られます。

<小原選手への応援>

「風晟!風晟!」

小原選手のタイムリーツーベースヒットで掛川西が2点追加。

試合はこのまま6-4で掛川西の勝利。生徒一体の応援が野球部を勝利へ押し上げました。

<掛川西応援団指導部 村松団長>

「きょうの応援でも生徒全員で盛り上がって応援をすることができました。これを誇れる掛川西高校を独自の文化を続けていきたいと思います」

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