秋田水害広範囲に 大豆畑が被害、断水続く

泥の付いた大豆の苗を見て、無念そうな表情を浮かべる伊藤さん(17日、秋田県五城目町で)

記録的な大雨に見舞われた秋田県は17日で降り始めから3日。県北や県央を中心に農地の浸水や冠水が広範囲に及んだ。五城目町の一部では、浄水施設が水没したため、同日も断水が続いた。今後も断続的な降雨が予想されており、予断を許さない状況だ。

同町では、16日午後3時30分までの48時間雨量が173・5ミリを記録。16日には農地で水没した車から見つかった男性1人の死亡が確認されている。

同町の農事組合法人山ゆりでは、大豆畑1・7ヘクタールが水に漬かった。代表の伊藤武志さん(66)は「うまく育つ可能性もあるが……。良くて2、3割、最悪全滅だろう」。泥だらけの大豆の苗を見て、無念そうな表情で語る。

断水により、収穫最盛期となったエダマメを洗浄する水を隣町の八郎潟町で確保するなど対応に追われる。昨年夏も水害に遭い、約30ヘクタールの農地が水没した。伊藤さんは「河川を管理する行政には堤防をかさ上げするなど、手当てをしてほしい」と注文する。

家屋への被害に加え、断水で地域の生活に大きな影響が出ている。町内に給水ポイントが設けられているが、水田1・5ヘクタールを所有する金子一義さん(67)は風呂には入れず、約30キロ離れた大潟村の銭湯に通い「とても大変だ」とこぼす。

金子さん宅は昨年も水害で浸水。今回は巨大な流木が自宅を直撃した。「先祖から受け継いだ大切な土地だが、正直引っ越ししたいくらいだ」と悔しがる。県農業振興普及課によると、農業の被害面積や被害額は調査中だ。 前田大介 ◇

気象庁は17日、梅雨前線の活動が活発になり、東北では18日から20日にかけて再び大雨となる所があると発表した。既に大雨が降った秋田県などでは地盤が緩み、少ない雨量でも土砂災害につながる恐れがある。

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