[トレンド情報局]米のウイスキー海外へ 国産原料で日本らしさPR

米を原料に使った“ライスウイスキー”を海外に売り込む動きが出ている。日本のウイスキーは2022年の輸出額が過去最高を記録するなど好調な分野だが、原料は大麦など輸入品を使うケースが多い。酒造会社は、米を使って風味や商品イメージに日本らしさを打ち出す。 果実的な香り実現 茨城

日の丸ウイスキーKOME」(木内酒造提供) 国産原料にこだわったウイスキーを手がける木内酒造(茨城県那珂市)は今月、米を使った「日の丸ウイスキーKOME」(700ミリリットル、8800円)を新たに発売した。

酒造好適米をもろみに3割配合し、フルーティーな香りを実現した。

日本酒やビールを製造する同社は、20年から「日の丸ウイスキー」ブランドで、米国や台湾などへの輸出に乗り出し、好調な販売を記録している。

輸出向けの新商品を作る中で、米の活用を決めた。「大麦や小麦のウイスキーは海外でも作れるが、米のウイスキーは日本ならではの特色を出せる」(同社)と商機を見いだす。

現段階では、米の使用は原料の一部にとどまっているが、今後、米を主原料にしたウイスキーの開発を進める方針だ。 品評会で連続金賞 沖縄

「OKINAWA ISLAND BLUE」(久米仙酒造提供) 泡盛メーカーの久米仙酒造(那覇市)は、沖縄の風土を生かして作るライスウイスキー「OKINAWA ISLAND BLUE」を21年に発売。ウイスキーらしい熟成感に加え、米の優しい風味が楽しめると人気だ。23年には、世界中の酒類が集まる品評会で連続して金賞を受賞するなど、国内外で評価を高めている。

同社のウイスキーは泡盛の製造方法が土台のため、タイ米を使っていた。ただ、今年から初めて、国産米を使ったウイスキー造りに取り組むという。「原料から日本産であることを強調できる」(同社)と狙いを話す。

財務省の貿易統計によると、22年のウイスキーの輸出額は前年比2割増の560億円。14年比では約10倍に急伸した。輸出額が日本酒を上回り酒類でトップになるなど、世界的なウイスキーブームを背景に急拡大している。

小規模蒸留所に追い風

ウイスキー文化総合研究所の土屋守代表の話

世界では5年ほど前から、急激にウイスキーの人気が上昇している。特に、五大ウイスキーに数えられる日本産の人気が高い。手作り感のある蒸留所の台頭が世界的なトレンドとなっている中、日本国内の小規模な蒸留所にアピールするチャンスが訪れている。 鈴木雄太

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