7月末で閉店のジュンク堂書店大分店、28年の歴史振り返るパネル展【大分県】

「スタッフ一同、感謝の気持ちでいっぱい」と話す千綾加奈子店長=大分市中央町のジュンク堂書店大分店

 【大分】今月末に閉店する大分市中央町のジュンク堂書店大分店は、28年の歴史を振り返るパネル展を3階エレベーター前で開いている。開店当時の貴重な資料が並ぶ。31日まで。

 オープン時の店内の写真や図面、チラシなどを展示。当時の新聞広告にはキャッチコピー「40万冊の知が騒ぐ」の文字。これまでのイベントなどで人気の小説家や漫画家が寄せたメッセージ入りのサインも。スタッフ手作りの展示コーナーから店への愛着心が伝わる。

 同店は1995年1月、中央町にあったファッションビル「大分フォーラス」(現・大分オーパ)内に九州地区第1号店としてオープンした。阪神大震災の発生直後。神戸市にあった本社から開店準備に駆け付けていた社員たちは不安な思いの中、作業を進めたという。

 「その分、格別な思い入れを持って大分での営業を続けてきた」と千綾加奈子店長(45)。2017年のビル建て替えに伴い閉店したが、近くにあった現在の商業ビルに移り営業を再開。市中心部で屈指の大型書店として幅広い世代に親しまれた。

 近年は書籍のインターネット通販が台頭し、電子書籍も普及。店で本を手に取り、偶然の出合いを楽しんできた常連客からは別れを惜しむ声が聞かれる。

 千綾店長は「閉店業務で慌ただしく過ごす中、レジで『なくなると困る』『寂しくなるよ』と温かい声をかけていただく。感謝の気持ちでいっぱい」と話した。  

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