第105回全国高校野球長崎大会・第10日 熱闘3時間48分、海星競り勝ち8強出そろう

【3回戦、海星―長崎工】11回表海星無死満塁、永田の左犠飛で生還する三走村田。捕手米田=県営ビッグNスタジアム

 第105回全国高校野球選手権記念長崎大会第10日は17日、長崎市の県営ビッグNスタジアムなどで3回戦4試合が行われ、タイブレークの接戦を制した海星と九州文化学園のほか、創成館、長崎北が準々決勝へ進み、8強が出そろった。
 第3、6シードの海星、九州文化学園は、いずれも延長十一回無死一、二塁制のタイブレークの末に決着。海星は長崎工に7-6で競り勝ち、九州文化学園は大村工を7-3で振り切った。
 第5シード創成館は島原に5-0で快勝。長崎北は大村を4-0で退け、唯一ノーシードから準々決勝へ進んだ。
 18日は休養日。第11日は19日、ビッグNで準々決勝2試合を実施する。

◎ノーシードの長崎工 優勝候補を追い詰める 

 猛暑の中、延長十一回、3時間48分の熱戦は見応えがあった。どちらが勝ってもおかしくない展開となり、ノーシードの長崎工が優勝候補の海星をあと一歩まで追い詰めた。最後は1点差で海星に軍配が上がったが、試合後のスタンドからは両校の選手たちへ大きな拍手が送られた。
 海星にとっては「負け試合」(加藤監督)だった。記録に残らない守りのミスから失点するなど、春の選抜出場校らしくないプレーが続いた。八回を終えて4-5。九回表も先頭打者が倒れた。番狂わせのムードが球場に漂った。
 だが、ここからの勝負強さはさすがだった。2四死球で得た好機を逃さずに永田の適時打で同点。無死一、二塁の延長タイブレークは、基本に忠実なバントや犠打で確実に1点をもぎ取った。七回から登板した投手二枚看板の一人、髙野も「3年の意地で投げた」。十一回は先頭打者に送りバントをさせずに三振を奪い、最後の反撃を断った。
 長崎工はすべてを出し尽くした。エース柗本を中心に、懸命に守り、走った。柗本は脚がつって九回のマウンドに立てなかったが、全員で粘った。手束監督は「今までで一番いいゲーム。本当によく頑張った」と賛辞を惜しまなかった。
 試合後、両校の父母らが見守る中、長崎工の主将の山口が海星の主将の田川一に“千羽鶴”を手渡して思いを託した。田川一が言った。「長崎工の思いを背負って必ず甲子園に行く」。また、温かい拍手が両校の選手たちを包んだ。

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