町並み保存地区・旧因幡街道大原宿(美作市古町)のふれあい広場で、長く手付かずのまま放置されていた水琴窟(すいきんくつ)を、武蔵の里大原観光協会副会長の月見伊津夫さん(70)が中心になって復活させた。水滴が地中の空洞に落ちて響く透き通った音がよみがえり、暑い夏に涼をもたらす存在になりそうだ。
広場は、江戸後期から明治、大正期にかけての趣が残る通りを歩く際の休憩施設として、1993年に旧大原町が店舗跡に設けた。長屋門や日本庭園、コイが泳ぐ池、ベンチ、トイレがあり、現在は市が所有している。
池のそばの水琴窟は深さ1.2メートル、直径0.9メートルの空間にかめが埋められていて、水が地上の玉石をつたい少しずつ落ちて音が出る仕組み。広場開設時に整備され、以前は地元住民にも認知されていたが、近年は周りの草木が生い茂って姿が見えなくなっていた。
「美しい音を訪れる人に聞いてもらいたい」。月見さんは春先から再生に取り組み、草木を刈り込んで、たまった落ち葉や排水管をふさぐ草の根を除去。むき出しだった水道の蛇口には竹をかぶせ、来場者が水をすくってかけるためのひしゃくも設置。玉石は地元の大原小の児童の手を借りて入れ替えた。
努力のかいあって金属音にも似た「キン、キン」という音が戻り、授業のまち探検で7日に訪れた大原小の2年生は、月見さんが持参した竹筒を耳に当てて堪能。児童(7)は「水の音がすごくきれいに聞こえる」と喜んだ。
開場時間は午前8時~午後5時。月見さんは「散策の合間に一服の清涼剤として楽しんでほしい」と話している。