サンゴの産卵始まる 「群落の世界北限」串本の海、黒潮の影響で種類豊富

一斉に産卵するサンゴ(和歌山県串本町沿岸で)=串本海中公園センター水族館提供

 串本海中公園センター(和歌山県串本町有田)の周辺の海で、サンゴの産卵が始まった。同センター水族館のスタッフが7日夜に確認し、昨年よりも規模が大きかったという。

 同水族館は毎年この時季にサンゴの産卵調査をしている。この日は午後9時半~10時半、水深2~6メートルの海中でテーブル状のクシハダミドリイシと枝状のスギノキミドリイシが一斉に産卵した。精子と卵が入った直径約1ミリの「バンドル」というピンク色のカプセルが海中に広がった。

 8月にかけてエンタクミドリイシやニホンミドリイシなどの産卵も予測されるという。

 水族館の森美枝館長(56)は「幻想的だった。サンゴが申し合わせたように一斉に産卵するのは不思議に思う。今後も観察を続けたい」と話した。

 串本沿岸海域は本州中部に位置しながら、黒潮の影響を受けてサンゴの種類が豊富。サンゴ群落の世界北限とされ、2005年11月、世界的に重要な湿地を保全する「ラムサール条約」に登録された。

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