通行止め従わず入山客相次ぎ「登山控えて」 土砂崩れ発生の伊吹山、遭難も

伊吹山(滋賀県米原市)

 12日の大雨の影響で大規模な土砂崩れが発生した伊吹山の滋賀県側について、県と米原市が麓からの登山を控えるよう呼びかけている。登山道を通行止めにした後も入山客が相次ぎ、遭難とみられる事案も出ている。県などは「土砂崩れや落石の危険があり、安全確認できるまで登山を控えてほしい」とし、9合目の駐車場から頂上に登ることができる伊吹山ドライブウェイの利用を勧めている。

 米原市によると、12日午後2時半ごろ、激しい雨で崩れた土砂が主要ルートのひとつの表登山道に流出したと、地元住民から市に通報があった。4合目から7合目にかけて複数箇所が土砂で覆われたり、地表が流されてえぐれたりする危険な状況となり、6合目付近の避難小屋も一部が埋まって使えなくなった。

 表登山道は、県内からのルートでは最も登山客が多く、管理する県が同日夕に米原市上野の登山口を通行止めにした。地元自治会もロープや立て看板で入山を控えるよう呼び掛けた。他の主要ルートでも同様の看板を設けた。

 一方、通行止めに従わず入山する登山客が多いという。市には、他府県の登山客から「他の人も登っているから自分も構わないか」などと問い合わせがあるほか、登山情報アプリでも登った人とみられる投稿が相次いでいる。16日には1人で登っていた大阪市の70代男性の行方が分からなくなり、米原署が捜索を続けている。県は18日、登山口に新たな柵を設置した。

 登山道の復旧は長期間かかる見込みで、天候が安定する来週以降に県と市が現場確認し、安全対策を協議する。県は「シカによる草花の食害で山の保水力が失われていることも土砂崩れを誘発した可能性がある」とし、伊吹山の生態系回復も合わせて検討していく方針。

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