〔海外〕2023年6月の災害を振り返る

2023年6月に発生した海外での大規模な災害、事故・事件の案件について振り返ります。nn※被害の内訳については、原則的にレスキューナウによる情報取りまとめ時のものです。それぞれの記事の最終更新日以降の状況については反映されていないことがあります。

●6月
【事故】インド東部で3本の列車による衝突事故 死者280人以上
[被害]死者288人 負傷者1000人以上
2023年6月2日夜、インド東部オディシャ(オリッサ)州バーラソールで3本の列車が絡む衝突事故が発生した。
事故はまず、西ベンガル州からタミルナド州に向かう旅客列車が誤った線路に進入し、停車していた貨物列車と衝突して脱線。さらに、脱線した車両が西ベンガル州方面に向かっていた別の旅客列車と衝突した。事故の衝撃で車両の一部は折れ曲がるように破壊され、また一部の車両は乗り上げるように積み重なった。
2本の旅客列車には合わせて数千人が乗っていたとみられ、今回の事故で288人が死亡、1000人以上が負傷した。
インドの鉄道相は、列車の制御システムや信号機が正常に動作しなかったことが原因との見方を示しているほか、事故現場付近には列車の衝突を自動的に防止する保安装置が設置されていなかったことが判明している。

【自然災害】アメリカ・テキサス州で竜巻
[被害]死者3人 負傷者約100人 家屋損壊約200軒
2023年6月15日午後、アメリカ南部・テキサス州で竜巻が発生した。竜巻は州北部のペリートンを直撃し、少なくとも3人が死亡、負傷者も100人近くにのぼった。また、約200軒の家屋が損壊したほか、広域で停電も発生。15日深夜時点で約20万軒におよんだ。
15日、アメリカ南部や中西部では、高温のために大気の状態が不安定になっていた。このため、テキサス州以外でも各地で竜巻や雷雨、大粒のひょうなどが観測された。

【事故】沈没した豪華客船「タイタニック号」の調査へ向かった潜水艇が海底近くで「爆縮」
[被害]死者5人
2023年6月18日午後(日本時間19日午前)、アメリカ・マサチューセッツ州の東方沖で潜水艇が海面に戻らず、消息を絶ったと沿岸警備隊に連絡が入った。潜水艇はアメリカのツアー会社「オーシャンゲート エクスペディションズ」の所有する「タイタン」で、ツアー会社のCEO兼操縦士を含めた5人が乗船していた。潜水艇の目的は1912年に沈没した豪華客船「タイタニック号」の沈没現場の探索で、水深4000メートルまで航行し、1時間45分ほどで海面に戻る予定だった。
潜水艇は緊急用に96時間分の酸素を搭載しており、時間に限りのある状態での捜索のため、19日からはアメリカとカナダの沿岸警備隊が捜索を開始。21日にはフランスの捜索隊も加わった。捜索中、ソナーにものを叩くような音が感知されたものの、22日には潜水艇の破片が無人ロボットにより海底で発見された。アメリカ沿岸警備隊は破片の状況から、潜水艇は周囲からの圧力で押しつぶされる「爆縮」が起きたとの見解を示し、乗船した5人全員が死亡したとした。その後、カナダ政府が事故原因について調査を開始、28日には残骸や遺体の一部とみられるものが引き上げられた。
今回事故を起こした潜水艇については事故直後から複数の業界関係者より、安全を担保するための認証手続きや検査を行っていなかったことや、窓の耐圧性能が低く、水深1300メートルまでのものしかクリアできていないことなどが指摘されている。詳しい原因の解明は今後の調査で進められる。

© 株式会社レスキューナウ