英語で科学研究、つらい 論文に時間、国際学会を敬遠

 【ワシントン共同】科学研究の共通言語である英語。だが非英語圏の研究者の負担は相当重いとの調査結果をオーストラリア・クイーンズランド大の天野達也上席講師らがまとめ、科学誌プロスバイオロジーに18日発表した。駆け出しの研究者は特に深刻で、論文を読む時間は91%増しに。英語の不備による論文の不採用も40%近くが経験し、国際学会への参加を諦めた人も30%いた。

 英語は多様な背景を持つ研究者の参加を阻む壁になっており、天野さんは「こうした苦労を科学界が認識すべきだ」と指摘。AIによる英文校閲機能の利用促進や科学誌による校閲サービスの提供、学会でも英語が苦手な人を歓迎する雰囲気や支援担当者の配置が必要だとした。

 調査は、日本、バングラデシュ、スペイン、ナイジェリアなど英語力や所得水準が異なる8カ国の環境科学者908人に、オンラインで2021年に実施。限られた専門分野ではあるが英語の壁を具体的な数値で示す珍しい研究となった。

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