歌手 酒井法子の軌跡!デビュー35周年記念アルバム「Premium Best」は永遠の宝物  “のりピー” デビュー35周年のベストアルバム! ついにリリース!

酒井法子、歌手活動の集大成ともいうべき「Premium Best」リリース

デビュー35周年、酒井法子のこれまでの歌手活動の集大成ともいうべき『酒井法子 Premium Best』が発売になった。

3枚にわたるベストアルバムCDには、36曲のシングル曲すべてと自身のセレクトによるフェイバリット曲を収録。さらに、日本テレビでの番組歌唱シーンほかを収めた2時間以上に及ぶスペシャルDVD、雑誌『近代映画』のグラビア写真集に最新インタビューとディスコグラフィーも付いた全116ページのフォトブックが内包された、大ボリュームのBOXで軌跡を辿る。

1987年、「男のコになりたい」で正式に歌手デビュー

1985年10月に開かれた『'86 ミスヘアコロン・イメージガール・コンテスト』が芸能界デビューのきっかけとなった。グランプリこそ逃したものの、急遽用意されたという「BOMB!賞」を受賞してサンミュージックへの所属が決まり、生まれ育った福岡から上京する。

人気アイドルの登竜門だった雑誌『Momoco』のモモコクラブの一員となり、同誌主催のイベント『第2回 ミスモモコクラブ』で「ミスVHD賞」を受賞。ビクターが開発していたVHD(映像記録ディスク)での発売による『YUPPIE』で1986年11月に本格的なデビューとなった。収録曲だった「お願いダーリン」で初レコーディングを経験した後、翌1987年2月5日にビクターから「男のコになりたい」で正式に歌手デビューを果たす。

同期デビューには、立花理佐、畠田理恵、BaBeらがいたが、TBS系の番組『モモコクラブ』にレギュラー出演し、「ヤッピー」「うれピー」「いただきマンモス」といった独自の “のりピー語” を披露して注目されるなど、知名度では酒井が群を抜いていたように見えた。

11月に『第18回日本歌謡大賞』ではサードシングル「ノ・レ・な・いTeen-age」で最優秀放送音楽新人賞を受賞している。のりピー語はあくまでも売り出しのための戦略であったとはいえ、少女漫画誌で一時期連載もした『のりピーちゃん』が単行本や絵本として発売されるなど、歌以外でも多才なところを見せた。

第60回選抜高等学校野球大会の入場行進曲にも選出された「夢冒険」

今回の『Premium Best』の1枚目は、第60回選抜高等学校野球大会の入場行進曲にも選出されたアイドル時代の代表作で4枚目のシングル「夢冒険」で始まる。作曲の西木栄二は前シングル「ノ・レ・な・いTeen-age」に続いての起用で、この後も「HAPPY AGAIN」を提供した、いずれも森浩美の作詞。初期作品における重要な作家陣である。さらに歌手への第一歩となった「お願いダーリン」を経て、デビュー曲「男のコになりたい」からはシングルA面曲を中心とした構成。

その間には酒井本人がセレクトしたアルバム曲やシングルB面曲からの欠かせない曲も収録されている。例えば「アクティブ・ハート」はアルバム『Lovely Times』収録曲で、オリジナルビデオアニメ『トップをねらえ!』のオープニングテーマに使用された作品。躍動感溢れるメロディがいきいきと歌われており、これも森×西木の作による楽曲であった。

時代を象徴するユーロビート歌謡「GUANBARE」や、飛鳥涼(現・ASKA)作曲による「1億のスマイル」、『ザ・ベストテン』への最後のランクインとなった「ホンキをだして」など、80年代は明るくハジけた王道のアイドル曲が並ぶが、彼女の声はちょっとハスキーで、可愛らしいだけのいわゆるアイドル声でないところがポイントなのだ。

『Cute Songs』と題されたこの巻のラストには、当時カセットテープのみで発売された「のりピー音頭」がボーナストラック的に収録されている。

「碧いうさぎ」の大ヒット、台湾や香港といったアジア圏での人気を獲得した90年代

CDの2枚目は『Mellow Songs』。90年代に入ると、時に哀愁を帯びた大人っぽい楽曲も登場してくる。そこで独特なハスキーヴォイスも活かされることに。その変化は年齢に合わせてというのはもちろんのこと、その頃から活動範囲を拡張し、台湾や香港といったアジア圏での人気を獲得していったことにも起因するだろう。

1992年春には、初の海外公演となった台北市でのコンサートを成功させた。翌1993年にはフジテレビ系『ひとつ屋根の下』、1995年には日本テレビ系『星の金貨』と、女優としての活躍が著しく、後者の主題歌となった「碧いうさぎ」で自身初のミリオンセラーを記録している。デビュー9年目にして初出場となった 『第46回NHK紅白歌合戦』でも披露された。

「碧いうさぎ」を作曲した織田哲郎をはじめ、「鏡のドレス」の宇佐元恭一、「涙色」の河村隆一ら、作家陣もそれまでになかった顔ぶれによるラインナップ。最近のシティポップブーム下で再評価されている具島直子がアルバム用に提供した佳曲「9月の海」もしっかり選曲された。

「碧いうさぎ」を書いた織田哲郎による中山美穂&WANDSのヒット曲「世界中の誰よりきっと」のカバーは、2007年に36枚目のシングルとしてリリースされたもの。車のCMソングだった。彼女の声に絶妙にマッチした好カバーといえる。

アルバムの締めくくりは、デビュー30周年の際にレコーディングされた「永遠の宝物」

『Groovy Songs』と題された3枚目のCDは、再び時代を少し遡りつつ、意外な一面を垣間見せた楽曲が集められている。新曲「Funny JANE」を筆頭に、比較的アグレッシブな作品群。21枚目のシングルだった1992年の「渚のピテカントロプス」辺りが突破口であったかもしれない。とみたきょうこ作詞、奥居香作曲によるプリンセス プリンセス・ワールドの「あなたと見た空」は1996年のアルバム『スノーフレイクス』より。デビューから10年を経て、歌手としてしっかり成長を遂げていた様子が窺われる。

そこからさらに20年、デビュー30周年の際にレコーディングされた2017年の「永遠の宝物」でアルバムは締めくくられる。現在に至るまでずっと変わらない美しいヴィジュアルと歌声が堪能出来るDVDと併せて、今回の作品集は僕らにとって、まさしく “永遠の宝物” である。

カタリベ: 鈴木啓之

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