春日大社「春日若宮御祭図屏風」の複製奉納 - 凸版印刷など尽力、高度な技術で再現し7月19日から公開

神楽殿に展示された「春日若宮御祭図屏風」複製品=18日、奈良市春日野町の春日大社

 毎年12月に営まれる春日若宮おん祭のお渡り式の詳細を描いた「春日若宮御祭図屏風」(出光美術館所蔵)を複製した屏風が、18日、奈良市春日野町の春日大社に奉納された。奉納奉告祭が営まれ、奉納者の凸版印刷(東京都、金子眞吾会長)や、同祭保存会ら約35人が参列した。

 「春日若宮御祭図屏風」は江戸幕府の表絵師、狩野秀信とみられる狩野柳雪の作。大きさは縦161.3センチ、横372.2センチで、春日大社を遠景に、芸能者や大名の行列などを豪華絢爛(けんらん)に表現。アメリカの日本美術コレクタープライス財団を経て2019年から東京都の出光美術館が所蔵している。

 奉納された複製品は、若宮式年造替を記念して春日大社が凸版印刷へ依頼。同美術館の協力のもと、高度な印刷技術によって完全に再現され半年ほどかけて完成した。400年の時を経て再び若宮の御前に飾られることになった。

 奉告祭では、大宮(春日大社本殿)から若宮までの御間道(おあいみち)で大名行列保存会による行列の所作が披露された後、神職による祝詞奏上、神楽の奉納が行われた。

 同大社の花山院弘匡宮司は「お参りされた方がおん祭を感じられる若宮様の視線で描かれた珍しい屏風。神様も喜んでおられると思う」と感謝を述べた。凸版印刷の金子会長は「技術的にも難しい複製だったが、光栄な機会をいただけてありがたい」と話した。

 複製屏風は、若宮前の神楽殿できょう19日から、おん祭が始まる前の12月10日まで公開される。

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