長崎・旧魚の町団地 活用へ事業採算性が課題 長崎県が調査結果を公表

活用が検討されている旧魚の町団地=長崎市魚の町

 現存する戦後最古の団地の一つで、歴史的に価値の高い旧魚の町団地(長崎市)について、長崎県は今月、活用策を探るため昨年度実施した調査の結果を公表した。商店街やオフィス街に近いことから「日常的な需要もある」とする一方、改修や運営を担う民間事業者の採算性が課題としている。
 県住宅課によると、同団地は鉄筋コンクリート造りの4階建て(24戸)。戦後の住宅不足対策のため1948年着工、49年に完成した。「48型」とも呼ばれ、全国に5棟が現存している。
 現在は閉鎖しているが、建物の魅力や立地の良さを生かそうと活用法を検討。地元事業者との意見交換を経て今年3月の10日間、「チャレンジウィーク」と銘打ち、6事業者が“お試し入居”して物販や体験イベントなどを企画した。
 期間中は約350人が来場した。アンケートでは同団地の活用に肯定的な意見が約93%に上り、若者らが安い家賃で活動できる拠点を求める声も多かったという。参加事業者からは「ノスタルジックで部屋がレトロ」「街中にありながら静か」とする一方、「入り口が分かりにくい」「(1階は)寒く、底冷えする」などの意見が寄せられた。
 現在、同団地は電気や水道が停止しており、県は改修や貸し出しなどの運営を民間事業者が担うことを想定。事業採算性のほか、家賃設定にも工夫が必要としている。同課は活用開始時期は未定として、「70年以上経過しているコンクリート製の建物は全国でも珍しく、手探り状態。採算性などの検討を進めながら、前向きに活用を推進したい」としている。

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