元プロ野球阪神の外野手としてプレーした横田慎太郎さん=鹿児島実業高校卒=が18日午前5時42分、死去した。28歳。現役引退の原因になった脳腫瘍が昨年に再々発していた。喪主は父真之(まさし)さん。
「若すぎる」「残念でならない」。28歳で他界した、元プロ野球阪神の横田慎太郎さんの訃報が伝わった18日、友人や関係者から惜しむ声が上がった。
鹿児島猛虎会会長の鳥井ケ原昭人さん(73)=鹿児島市=は同日昼、横田さんの父・真之さんから連絡を受けた。「5月に『余命1カ月と言われた』と聞いていたが、頭が真っ白になった。2度目の奇跡を起こそう、と話していたのに残念だ」と悔しがる。
入団前の壮行会には約800人が集まった。「誰からも好かれる若者だった」。親交があった金本知憲監督(当時)に「慎太郎を飯でも連れて行こうか」と尋ねた。金本監督は「もう少し待って。一流にするから」と答えたという。
横田さんは昨年12月、所属していた日置市の湯田ソフトボールスポーツ少年団が主催する大会に駆け付け、子どもたちの前であいさつした。「夢を諦めるな」の言葉が印象に残っているという下池真監督(43)=同市=は「プロ入り後も練習に顔を出し、子どもたちに声をかけてくれる気さくな人だった」と話した。
高校時代、同じ鹿児島実業のユニホームを着た福永泰志さん(28)=愛知県=は「小学生の頃から年賀状をやり取りする仲。高校では朝5時半に起きて一緒に素振りをした」と振り返る。
3年の夏、県大会決勝で樟南高校にサヨナラ負けした後、福永さんがマウンドに座り込む写真を実家に飾っている。そこには、横田さんが書き込んだ「最高のライバル」の文字がある。
「野球ばかという言葉が似合うやつ。よく頑張った。もう一度みんなで野球がしたかった」
【プロフィル】よこた・しんたろうさん 1995年、東京都生まれ。3歳で鹿児島に引っ越し、日置市の湯田小学校3年でソフトボールを始める。東市来中学校、鹿児島実業高校を経て、2013年にドラフト2位で阪神タイガースに入団。3年目は開幕から1軍に昇格した。17年に脳腫瘍(しゅよう)と診断され、2度の手術を受けた。19年に現役引退。20年に脊髄腫瘍が見つかり、21年に治療を終えた。引退後は鹿児島を拠点に講演、病院訪問、動画サイトの配信など幅広く活動。父・真之さんも元プロ野球選手。2023年7月18日死去、28歳。