犬の皮膚が伸びるのは何故?引っ張っても大丈夫?過度にやりすぎるとトラブルになることも

犬の皮膚が伸びるのは何故?

愛犬を撫でていたりマッサージしている最中に「あれ?ずいぶん皮膚伸びるな」と感じたことはありませんか?

全ての犬種の皮膚が伸びやすいわけではないのですが、犬は人間よりもずっと皮膚が伸びる犬種が多いのです。何のために皮膚が伸びるようになったのか調べてみました。

1.犬の皮膚はどうなってる?

犬と人間の皮膚の基本的な構造は同じです。ただ犬の場合、汗腺が肉球と鼻の部分にしかなく体の皮膚にはありません。また体中が被毛で覆われているなど、いくつかの違う部分はあります。

大きく異なるのは表皮の薄さ。皮膚の一番外側の表皮の厚さは人間の1/3程度しかなく、非常に薄くデリケートです。これは犬の体のほとんどが被毛で覆われているからだと考えられています。

そのため犬の皮膚そのものは非常に薄く柔らかいもの。人間よりもずっと皮膚が弱いのです。

2.犬の皮膚が伸びる理由

犬はその昔、いつ外敵に襲われるか分からない厳しい環境で生きていた野生動物です。突然外敵から攻撃を受けても大怪我を負わないよう、また致命傷にならないように皮膚が伸びやすくなっているようです。

皮膚が伸びやすく柔らかいと、外敵の牙や爪が重要な血管や臓器まで届くことがないので、最悪の事態を防ぐことができます。

犬が立った状態で外側に面している背中や、大事な脳が入っている頭周りは外敵から守る必要性も高いので、特に皮膚が伸びやすくなっています。

全体的に体の内側の皮膚はあまり伸びないよう。四肢も外側は伸びやすいですが内側は伸びにくく、お腹の皮膚もあまり伸びなくなっています。

また、狩りをする時や外敵と戦わなければならない時に、素早く柔軟に動くためにも伸びやすい皮膚が必要だったよう。皮膚が伸びることによって、素早く動いたり激しい運動をすることが出来るようです。

犬の皮膚は引っ張っても大丈夫?

犬の皮膚はある程度引っ張っても大丈夫ですが、当然ながら引っ張りすぎるとトラブルに繋がります。過度に引っ張りすぎると血管や神経の損傷、また皮膚が破れてしまう危険性も…。長時間引っ張り続けたり強い力で引っ張るのは絶対に止めましょう。

また犬種や個体によって、皮膚の伸び方や厚さ、柔軟性は様々です。年齢や健康状態、脂肪のつき加減や筋肉の状態などでも皮膚が伸びやすい個体もいれば、あまり伸びない個体もいるでしょう。

故意に引っ張るだけでなく愛犬と遊ぶ時や抱っこする際にも、皮膚を強く引っ張らないように注意しましょう。

伸びやすい皮膚にはデメリットも

犬の皮膚が伸びやすい理由は自身の体を守るためではありますが、薄く柔軟な皮膚にはデメリットもあるのです。

感染症のリスクが高くなる

皮膚が伸びるということは、必然的にシワも出来やすくなります。皮膚が伸びて出来たシワの間に汚れや皮脂が溜まり細菌が繁殖しやすくなります。そのため、痒みが起こり噛んだり掻いたりすることで傷ができてしまったり、ジクジクした状態になり細菌感染が起こる場合があります。

また皮膚が伸びやすい犬種は、皮膚が弱い傾向も強いよう。伸びやすい皮膚を持つ犬種は一般的に敏感になる可能性が高く、外部からの刺激やアレルゲンに対して過剰に反応することがあります。

愛犬の皮膚が伸びやす犬種であれば、小さな傷でも炎症を起こしていないかなど注意深く観察してあげましょう。清潔を保つことで感染症やアレルゲンからの刺激を受けるリスクは低くなるので、愛犬が過ごす環境はこまめにお掃除してあげると安心でしょう。

また定期的なシャンプーも効果的です。気になる症状があればすぐに動物病院へ。

皮膚が伸びやすい犬種は?

皮膚が伸びやすい犬種の代表格は「柴犬」です。他にはゴールデンレトリバーやパグ、フレンチブルドッグ、バセットハウンド、ダックスフントなど。

逆に皮膚が伸びづらい犬種はドーベルマンやブルテリア、グレイハンドなどで、短毛で皮膚が張った感じの犬種が多くなっています。

あなたの愛犬の皮膚は伸びやすいですか?ちょっとだけ引っ張らせてもらって確認してみましょう。

皮膚が伸びてしまう病気もあり、エーラスダンロス症候群と呼ばれています。異常に伸びる場合は動物病院で診察を受けましょう。

まとめ

犬と暮らしている方であれば愛犬と触れ合う機会は、1日に1回は必ずあるのではないでしょうか。ビヨーンと皮膚を伸ばした愛犬も可愛いですが、嫌がる個体もいると思いますし、なによりもトラブルに繋がる可能性もあるのでほどほどにしておきましょう。

愛犬と触れ合う機会にはぜひ皮膚や被毛の健康状態をチェックしてあげましょうね。

(獣医師監修:平松育子)

© 株式会社ピーネストジャパン