放置すると命に関わる『犬の病気』4選!初期症状~末期症状、予防のためにチェックすべきポイントとは

1.狂犬病

犬がかかる病気として、最も恐ろしいと考えられているのが「狂犬病」です。狂犬病ウイルスに感染し、発症するとほぼ100%死亡すると言われています。

狂犬病は犬だけがかかる病気ではなく、人間を含めた哺乳類のほとんどが感染します。発症した動物に噛まれると、傷口からウイルスが侵入して中枢神経まで届き、様々な神経症状を引き起こします。

症状は傷口の痛みや感覚異常から始まり、発熱や頭痛、倦怠感といった風邪症状のようなものがあらわれます。さらに進行すると、興奮状態に陥って錯乱を起こし、攻撃的な状態となります。

また、水を極端に怖がるといった脳炎症状が見られることもあり、最終的には麻痺から昏睡状態になり、呼吸停止で死亡するとされています。

有効な治療法がない上に致死率が高い病気のため、日本では毎年必ず予防接種を受けさせることが飼い主に義務付けられています。

日本では1956年以来狂犬病の発生はありませんが、海外で犬に噛まれて狂犬病を発症し死亡したという人はいます。また、海外から狂犬病ウイルスを持った動物が入る可能性もゼロではないため、日本においても必ず狂犬病予防接種を受けるようにしてください。

2.犬パルボウイルス感染症

犬パルボウイルス感染症は、その名の通りウイルス感染によって発症する病気で、嘔吐や下痢、白血球の減少などの症状が見られます。激しい嘔吐や下痢が続くことで脱水症状を引き起こしたり、衰弱したりして死亡する例も少なくありません。

犬パルボウイルスは感染力が非常に高く、特に抵抗力の弱い子犬や老犬などは注意が必要です。感染しやすいだけでなく、症状が悪化しやすく致死率も健康な成犬に比べて高いため、適切な予防をおこなう必要があります。

発症した後に使用できる特効薬はなく、対処療法をおこないながら犬が回復することを待つしかありません。そのため、犬のパルボウイルス感染症を防ぐためのワクチンは、「コアワクチン」と呼ばれて、基本的にすべての犬に接種することが推奨されているワクチンとなっています。

3.犬ジステンパーウイルス感染症

犬ジステンパーウイルス感染症は、ウイルスの空気または飛沫感染によって伝染する病気です。

鼻や喉から侵入したウイルスがが、体内のリンパ節で増殖し、呼吸器や消化器、中枢神経へと広がり様々な症状を引き起こします。

感染初期には発熱や鼻水といった軽度の風邪症状に似たものがあらわれますが、次第に下痢や嘔吐、咳などをするようになり、さらに進行すると脳炎を起こして痙攣や麻痺といった神経症状も見られるようになります。

治療に有効な薬はないため、出ている症状に対する対処療法をおこない、犬の体力や抵抗力に任せて回復を待つことになります。そのため、体力の少ない子犬や老犬などは回復できずに死亡してしまうこともめずらしくありません。

特効薬がないことや致死率が高いことから、犬ジステンパーウイルス感染症の予防ワクチンも、パルボウイルス感染症と同様にすべての犬に必要な「コアワクチン」に位置付けられています。

4.胃拡張捻転症候群

胃拡張捻転症候群とは、胃が著しく膨れて拡張した後、胃が捻じれてしまう病気です。これを発症すると、胃の周辺にある血管が圧迫または捻じれてしまい、全身への血流が滞ってしまいます。

それにより不整脈を起こしたり、胃の周囲にある臓器が壊死を起こしてしまいます。また、ショック状態になり、発症から数時間の内に死亡してしまうこともあります。

胃拡張捻転症候群の原因は明確にはなっていませんが、胃が食べ物や水、空気で膨れた後に運動などをすることで起こると言われています。

発症率を見てみると、グレート・デーンやロットワイラー、ワイマラナー、秋田犬など胸の深い大型犬の発症率が高いとされています。ただし、他の犬では起こらないというわけではなく、小型犬にも発症事例はあるため、どのような犬種でも食後の運動などは控えた方がいいでしょう。

えずいているのに何も出てこず嘔吐できない、ぐったりと動かない、腹部がパンパンに膨れているというような様子が見られたときは、胃拡張捻転症候群を疑いすぐに動物病院に相談してください。

まとめ

この記事では、致死率がほぼ100%の病気から、特効薬がない病気、発症から数時間で死に至る可能性がある病気など、犬に大きな危険を及ぼす可能性のある病気について紹介しました。

今回紹介したものの多くは、ワクチンによって予防できます。

狂犬病ワクチンはもちろん、任意の混合ワクチンも定期的に摂取して、大切な愛犬の命を守るようにしてください。

(獣医師監修:平松育子)

© 株式会社ピーネストジャパン