木村花さん母の講演を機に、大阪でネット誹謗中傷の抑止へ条例案

大阪府の定例会見が7月19日に実施され、インターネット上での誹謗中傷や差別的発言についての抑止や被害者の支援に関する条例案を9月の府議会に提出することが明らかになった。

「大阪府インターネット上の人権侵害の解消に関する有識者会議の概要」ページよりキャプチャ

府では「大阪府インターネット上の人権侵害の解消に関する有識者会議」や、元女子プロレスラー・木村花さんの実母・響子さんの講演会などを開催。インターネット上での誹謗中傷や差別的発言、人権侵害などに向き合ってきた。

吉村洋文知事は、「お母さん(木村響子さん)と面談し、声を聴いたのがきっかけになった。有名人に限らず、学校などの小さなコミュニティでも起こりうる話」と経緯を説明。

今回の条例案について、「表現の自由が絡む憲法21条を前提にしても許されないこともある。反しない限りはどこまでできるのか。専門家と議論して今回、条例を提出する」と話す。

主な内容はまず、差別的な発信については府が直接その発信者に対して注意・指導できること。そして、誹謗中傷は行政の直接介入が難しいため、被害者が訴訟や権利回復するために必要な相談を広く受け付け、助言する相談窓口の強化など。

吉村知事は、「(前出の有識者会議で)誹謗中傷は認定の基準が難しく、もう少し研究が必要ということになった。それ以外にも、さまざまなSNSにおける問題事例を少しでも減らせる対策を条例化していきたい」と話した。

取材・文・写真/岡田由佳子

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