体操服の端材 鉛筆に ミヤモリ(富山県小矢部)開発、日本文具大賞で優秀賞

「服の鉛筆」と、芯に含まれる布からできた炭をPRする宮森専務=ミヤモリ

 学校体操服やスポーツウエアなどを製造販売するミヤモリ(小矢部市埴生)は、生産工程で発生する布の端材を使ったオリジナルの鉛筆を開発した。布を炭化して鉛筆の芯として使用。これまで焼却処分していたが、再利用することで二酸化炭素(CO2)の排出量も大幅に削減できる。全国の優れた文具へ贈られる今年の「日本文具大賞」で優秀賞に選ばれ、19日に都内で表彰された。

 オリジナル鉛筆は、名称が「服の鉛筆」。布から作った炭を芯に20%含んでおり、黒が濃くて光の反射が少ないのが特長だ。国の安全基準もクリアした。

 ミヤモリは年間20トンの端材が発生しており、長年の懸案となっていた。小矢部市フロンティアパークに研究拠点を置く炭化装置製造のZEエナジー(東京)の協力を得て、2020年から布を炭化させて利活用することに着目。ミヤモリが学校体操服を手がけていることから、子どもたちに還元できるものにしようと、鉛筆開発を決め、約2年半かけて完成させた。

 ミヤモリによると、年間20トンの端材を全て使うと、約30万本の鉛筆の生産が見込める。CO2排出量は焼却処分した場合と比べ、9.3トン抑えられるという。

 3月には同社製造の体操服を使っている同市蟹谷(かんだ)小学校で出前授業を開催。児童に鉛筆の実物を見せながら服を炭にする技術を伝え、環境問題について考えてもらった。

 服の鉛筆は、日本文具大賞で今年から新たに設けられた「サステナブル部門」の優秀賞に輝き、19日に東京ビッグサイトで表彰された。

 ミヤモリの宮森穂(みのる)専務(54)は「別の繊維業者からも端材を集めて鉛筆を作ったり、鉛筆以外の活用法を探ったりしたい。繊維業界全体で、循環型ビジネスを進めるきっかけになればいい」と語った。

生産工程で発生する布の端材

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