第105回全国高校野球長崎大会・第11日 シード校の大崎、長崎日大が4強入り

【準々決勝、大崎―清峰】5回表大崎2死、中村が右越えにソロ本塁打を放つ=県営ビッグNスタジアム

 第105回全国高校野球選手権長崎大会第11日は19日、長崎市の県営ビッグNスタジアムで準々決勝2試合が行われ、大崎と長崎日大の第1、2シードが準決勝へ進んだ。
 大崎は清峰に4-3で競り勝った。2-3の六回1死二塁から杉本の中前適時打で追いつくと、七回1死一塁から中村の右翼線適時二塁打で決勝点を挙げた。中村は五回のソロを含めて3安打の活躍。投げては2番手野口が六回以降、得点を許さなかった。清峰も点を取られたら取り返し、2年生の先発南が最速143キロを記録して完投したが、一歩及ばなかった。
 長崎日大は長崎商を2-0で退けた。先発した2年生の西尾が2安打1四球で完封。直球は常時140キロ台で七回2死まで無安打に抑えた。打線は初回2死三塁から加藤の右前適時打で先制。四回無死から立石の左越え三塁打、平岩の中前打と連打で1点を加えた。長崎商は橋本哲、渡邉、野原の左腕3人の継投で対抗したが、攻撃陣が西尾を攻略できなかった。
 第12日は20日、ビッグNで準々決勝の残り2試合を実施する。

 ◎大崎が逆転勝ち 頼れる主将、ソロに決勝打

 点を取ってもすぐに取り返され、一時はリードも許した一戦。チームを救ったのは頼れる主将のバットだった。大崎の中村が1-1の五回に勝ち越しソロ本塁打、3-3の七回には決勝二塁打。清水監督に「持ってるやつは違うな」と言わしめたヒーローは「苦しい試合だった。勝ちきれて本当に良かった」と安堵(あんど)の表情を浮かべた。
 五回は2死無走者からの豪快な一振り。「前の打席でインコースの真っすぐを攻められた。同じ球で勝負してくる」。狙い球を鋭く振り抜くと、打球は右翼席中段で弾んだ。七回は1死一塁。前の打者がエンドランで二飛に倒れただけに「併殺とフライ以外。つなぐ意識で」と再び直球を狙い打って右翼線へ運んだ。
 丸尾中時代、県高校野球界に台頭していたのが大崎だった。過去に清峰や佐世保実を全国に導いた清水監督の下、厳しい環境に身を置くことは分かっていたが「自分を成長させたい」と心に決めて入学。1年秋からスタメンで活躍してきた。
 チームは2020年に「県独自大会」で初めて夏を制したが、コロナ禍で甲子園は中止。入学後の一昨年は決勝、昨年は準決勝で涙をのんだ。だからこそ、この日、4年連続で4強入りしても満足感はなかった。“初”優勝へ、ここからの2戦が大事だということを理解している。
 準決勝の相手は創成館-長崎北の勝者。いずれも好投手を擁しており、さらなる打線の奮起が必要になる。リーダーは「まだまだ自分たちには甘さしかない。もう一度、見つめ直して臨む」と力強く前だけを見据えていた。

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