仕事の手柄を先輩が横取り!あなたは怒る?耐える?理不尽な仕打ちへの対処法 識者が語る

仕事の上で、自分の〝手柄〟を先輩に横取りされそうな時、どのようにして「大人の対応」を示していけばいいのだろうか。「大人研究」のパイオニアとして知られるコラムニストの石原壮一郎氏が実例を挙げながら解説した。

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【今回のピンチ】

先輩に横に付いてもらって、自分が考えた企画を課長に提案。課長が「素晴らしい!」と絶賛したら、先輩が「私が考えました」と。なんの助言ももらっていないのに……。

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確かに、先輩には「これ、どうでしょうね」と事前に企画を見てもらいました。そのときは、気乗りしない感じで「いいんじゃないの」と言っただけです。ところが、課長が絶賛した途端に態度が一変しました。

せっかくの手柄を横取りされそうな大ピンチ。しかも、先輩を大嫌いになって、会社の居心地が最悪になりかねません。

その場で、課長に「私が考えた企画です」と主張する手もあります。ただ、自業自得とはいえ、先輩の怒りや恨みを買うでしょう。しかも、先輩に赤っ恥をかかせたことで、むしろ自分の評価を下げてしまいます。かといって泣き寝入りすると、先輩への怒りや恨みが無限にふくらんでしまうでしょう。

腹立たしい状況だけど、その場で反論するのは得策ではない場合、どうすればいいのか。課長の前では、先輩を否定しないギリギリのところで、驚いた表情で「えっ」と小さく声を出しておきます。課長が勘がいいタイプなら、おおよその事情を察するでしょう。

この先輩は、文句を言ったところで反省なんてしません。ここは「相手を転がして精神的に優位に立つ」という作戦がオススメ。

席に戻ったあと、無邪気な口調で「先輩が考えた企画だったんですね。気がつかなくてすみません」と皮肉をかまします。さらに「及ばずながら私にもお手伝いさせてください」と言えば、そんなセコい先輩が有能なわけはないので、すぐに主導権を握れるでしょう。

小さな手柄の取り合いで消耗していても仕方ありません。その企画を大きく育てることができれば、発案者が誰かということは関係なく、十分に高い評価を得られるはず。

理不尽な目に遭ったときに、目先の仕返しにこだわると、くだらないことをしてきた相手と同じ土俵に乗ることになります。「この程度の手柄、欲しければくれてやる」ぐらいに思ったほうが、気持ちも楽になるし、結果的にたくさんのメリットにつながります。

(コラムニスト・石原 壮一郎)

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