佐賀県内大雨 唐津市浜玉町今坂地区の神社が倒壊 再建向けクラウドファンディングに挑戦へ

大雨の影響で倒壊した拝殿。境内に水が流れ続けている=唐津市浜玉町平原の今坂地区

 佐賀県内を襲った10日の大雨により土石流が発生して住民3人が亡くなった唐津市浜玉町平原の今坂地区で、地域のシンボルとなっている「今坂神社」の拝殿が浸水などの被害に遭って崩れ落ちている。2018年の西日本豪雨では鳥居が被災し、再建したばかりだった。住民は拝殿の再建に向けて支援を受けようと、資金を募るクラウドファンディング(CF)の準備を進めている。

 今坂神社は、土石流の発生現場から約300メートル離れたところにある。そばの川からあふれた水が境内に流れ込み、押し出された拝殿が倒壊して柱も流された。1週間以上たった今も絶え間なく水が流れ続け、がれきや岩が積もったままになっている。西日本豪雨では鳥居が被害を受け、住民らが資金を出し合って再建していた。

 神社は1508年に武雄神社(武雄市)から分霊を迎え、500年以上の歴史がある。江戸時代後期から守り続けている鐘や太鼓を鳴らす「虫祈祷」の行事や、しめ縄作りなど、年5回ほど住民が集まる行事があったという。今坂地区区長の筒井高宏さん(66)は「心のよりどころだった場所。新しい川ができて神社に流れ込み、まだ撤去さえ難しい」と話す。

 復旧に要する費用は数千万円を想定している。筒井さんは「前を向くしかない」とし、再建に向けてCFに挑戦する。(横田千晶)

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