「スーパー歌舞伎」消滅危機!復帰絶望の猿之助が果たしていた絶対的役割

市川猿之助容疑者(47)の再逮捕を受け、’24年に予定されていたスーパー歌舞伎セカンド「鬼滅の刃」が中止されることになった。日刊スポーツが7月19日に報じた。

大ヒット漫画とのコラボで、市川染五郎(18)、市川團子(19)、松本幸四郎(50)ら人気俳優の出演が予定されていた同作の中止は、歌舞伎界にとって大きな損失に違いない。“絶対的プロデューサー”と呼ばれた市川猿之助(47)抜きにしてはやはり成立しなかったのだろうか。歌舞伎評論家が解説する。

「今でこそ漫画やゲームと歌舞伎のコラボが当たり前のようになっていますが、その流れを作ったのが、’15年に上演した猿之助さんのスーパー歌舞伎セカンド『ワンピース』でした。当時は異例の企画を不安視する声もあったのですが、猿之助さんが演出し、成功に導いたのです。

もともとエンタメ要素の強い歌舞伎を得意としていた澤瀉屋にあって、歌舞伎役者としての実力があり、演出もできて、さらに漫画も含めた現代のエンタメへの造詣も深い。原作と歌舞伎の両方のファン、出版社、役者やスタッフといった全方位にウィンウィンな公演をプロデュースできる人材は、猿之助さん以外にいないでしょう。

実際、ほかのコラボ歌舞伎と比べても、『ワンピース』は図抜けて面白いんですよ。それだけに、少年ジャンプ編集部も猿之助さんだから作品を預けられたのではないでしょうか」

再逮捕で復帰は絶望視されている猿之助。今後、スーパー歌舞伎はどうなってしまうのか。

「このまま無くなってしまう可能性もありますね。澤瀉屋に猿之助さんの代わりとなる人材はいません。中車さん(香川照之)は歌舞伎俳優としての実力が伴っていませんし、中車さんの息子の團子さんもまだこれから。團子さんが役者として成長し、演出も担えるようになるとしても、20年以上先の話でしょう。現状の人材でクオリティの落ちた新作歌舞伎の人気がそれまで持つのかどうか……悲観的にならざるをえません」(前出・歌舞伎評論家)

『鬼滅の刃』の主人公・竈門炭治郎の名セリフに「失っても失っても 生きていくしかないんです どんなに打ちのめされようとも」という言葉がある。歌舞伎界はこの危機を乗り越えられるだろうか。

© 株式会社光文社