DDTプロレス、真夏のビッグマッチ「WRESTLE PETER PAN 2023」(7月23日、東京・両国国技館)での大一番を前に、DDT UNIVERSAL王者の遠藤哲哉が燃えている。遠藤は同大会で、元WWEスーパースターのマット・カルドナ(旧名=ザック・ライダー)を相手に、2度目の防衛戦を行う。決戦を目前に控えた遠藤に現在の心境を聞いた。
©DDTプロレスリング
ーーベルトを獲った土井成樹戦(3月21日、後楽園ホール)を振り返ってみていかがでしたか?
「足を狙われた試合でした。僕のファイトスタイルがハイフライヤーなので、なんとなく足を狙ってくるだろうなとは思っていたので、対応はできました」
ーー土井選手は長年ドラゴンゲートにいた選手。その色、スタイルは感じましたか?
「DDTの選手とは違う間合いの取り方とかはすごく感じましたし、見てるときからそういう雰囲気は感じ取ってました。戦ってみて改めてDDTとは戦い方のテンポが違うんだなって感じました」
ーードラゴンゲート育ちの選手とタイトル戦ができて収穫はありましたか?
「土井さんもDDTに上がり始めた頃から僕の名前を出してくれてましたし、僕自身もドラゴンゲートという団体は気になっていて。土井さんはずっとドラゴンゲートでやられてた選手で、雰囲気を味わってみたかったというのがあるんで。初めてのシングルマッチがベルトをかけた最高のシチュエーションで勝利できたので、自分のスタイルが他の団体でも通用すると分かったことが大きな収穫でした」
©DDTプロレスリング
ーー遠藤選手がチャンピオンのうちに、土井選手から挑戦表明あればウエルカムですか?
「ハイ。今度はシチュエーションが違う。今は僕がチャンピオンで土井選手がチャレンジャー。前回とはまた違った試合を見せられるのではないかという期待はあります」
ーー初防衛戦は5・3横浜武道館でのMAO戦でした。かなり口での攻撃を受けましたが、後輩からそうやって言われるのはどうでしたか?
「イヤですね。僕は結構繊細なほうなんで。SNSとか、一人の人がマイナスなことを書いてると、気になるタイプなんで。あの期間はプロレスに対する向き合い方とか考える時間が多かったです」
ーーそのMAO戦はどうでしたか?
「あの試合、僕のなかでは割とハードな試合のうちのひとつでした。ずっと僕の対角には竹下(幸之介)がいて、比較される対象だったんですけど。それに匹敵するような対戦相手だった。試合自体は危険な攻防もあって、ギリギリなところはありましたけど、結果僕のほうがちょっとだけ、気持ちが上回ったということですかね」
©DDTプロレスリング
ーーMAO選手は何をしてくるか分からないところが脅威ですか?
「その試合に関しては突拍子もないことをしてくるとこは少なかった。僕が想像するMAOを超えてこなかった。というのがあったので、それが勝ちにつながったのかなと思います」
©DDTプロレスリング
ーーMAO選手は海外にも目を向けてやってますし、今後積み重ねていけば、次に対戦したときはもっと脅威になりそうですか?
「その可能性は十分にあると思います」
ーーV2戦の挑戦者は元WWEスーパースターと発表されながら、しばらく名前が伏せられていました。その間の心境は?
「その期間が1ヵ月くらいありましたから、ストレスがたまりました。疑心暗鬼になりましたね」
ーーやはり発表を待たされるのはイヤでしたか?
「イヤでしたけど、この日(5月21日、後楽園)に発表すると分かってたので、自我を保てましたけど。これが当日まで伏せるとか、いつ発表するのか分からないとかだったら、会社に殴り込んで『挑戦者を教えろ』って、なってたかもしれないです」
ーー挑戦者はWWEでも実績のあるカルドナ選手。カルドナ選手ほどのトップ選手ではない可能性もあったわけですが…
「どっちに転ぶかはそのときになってみないと分からない。DDTはいい意味でも悪い意味でも期待を裏切ってくる。今回に関しては期待以上でした」
©DDTプロレスリング
ーーカルドナ選手の名を聞いて燃えてきましたか?
「ハイ。WWE時代のカルドナの試合を見ていたので。ただカルドナを目的で見ていたことはあまりないんです。他の選手の試合を見ていて、パートナーとか対戦相手にカルドナがいるパターンが多かったです。そこまで注目して見る選手ではなかったですね」
ーー頻繁に映像で目にしてた選手と、いざ戦うとなるといかがですか?
「日本のファンからしても、さっき言ったようなイメージだと思うんです。発表されたとき、どんな選手かある程度分かってたので、DDTがドッキリを仕掛けてきたという感じだったけど。日本のファンに100%届いてるのかどうかの疑問は残ります。内外からカルドナの名を聞いて、イマイチ、ピンと来てないという声が届くことがある。でも実績はすごいし、見た目もプロレスの技術もしっかりしてる選手だというのは皆さんに理解してもらいたいです。そして、正真正銘、WWEの一軍で13年間やってきた。それだけですごいこと。WWEをリリースされて、海外インディーで活躍してるのはそれなりに理由があると思います。日本に来て何も残さずに帰ることはない。必ず何かしら残して、爪痕を残して帰る選手だと思います。皆さんにも期待しておいてほしいです」
©DDTプロレスリング
ーーこう戦おうというイメージは浮かびますか?
「今カルドナのことよいしょしたんですけど、今のカルドナはインディーゴッドと名乗ってインディの選手を見下した態度をとっています。しかも試合は女性マネジャーのステフ・デ・ランダーの手助けから勝利する試合が多い。むしろ意識するべきはカルドナよりもステフの動きなのかもしれないですね」
ーー次の来日が決まってるわけではないですし、ベルトを獲られたら大変なことになります…
「彼に獲られたら取り戻すのは大変でしょうね。ただでさえ海外で幅広く活躍してる選手ですし、こっちが出向くにしても、また呼ぶにしても簡単ではないでしょうね」
ーーレフェリーも厳格に対応してもらわないといけないですね?
「そもそもセコンドが手を出した時点で反則ですから、そこで反則を取ってもらいたいけど、こればかりはレフェリーの判断ですからね。ちなみに僕は今回セコンドは付けないで戦いますよ。先日、赤井(沙希)さんのあるインタビューを読んで、他団体に出た時に自分のセコンドは一人なのに対して、相手側は多数で試合にも介入してきたと。今回はおもてなしじゃないですけど、相手がどんなにイヤなヤツでもDDTに上がったら、基本ネガティブな感情で帰ってほしくない。だから高鹿(佑也)も、岡田(佑介)も、秋山(準)さんも付けずに一人で戦うつもりです。ただ赤井さんの時と違う点は、向こう側の介入の可能性が高いところなので、その時の保険は掛けておく必要はあるのかな」
ーーベルトが海外に流出してしまいかねないプレッシャーはありますか?
「僕はプレッシャーはないとダメな人間なんです。あまり緊張しないタイプなんで、ある程度緊張感を持ってないと、うまく回らないというか逆に空回りするタイプなんで。そのくらいの緊張感がいい」
ーーマネジャーの介入に気を付けながらもベルトは守る?
「そうですね。もう一つ不安な点がありまして。対戦相手にイヤな気持ちで帰ってほしくないと言ったんですけど、DDTのファンってあまり悪いレスラーを見慣れてない方が多いと思うんです。海外だと声援とブーイングが分かりやすく分かれているんですけど、DDTだとそれがなくなってしまうんじゃないかと。やっぱり声援って力になるじゃないですか。それがフィフティフィフティになってしまうのが怖いかな」
ーーカルドナ選手が悪い人ならファンもそういう反応をしてほしいと?
「分かりやすく、カルドナが悪いことをしたらブーイング。あり得ないけど、僕が反則をしたらブーイングしてください」
ーーDDTのファンは温かいですからね…
「想像してた反応と真逆の反応が来たらお互いに戸惑っちゃう(笑)」
ーー前哨戦なしの初対決で、いきなりタイトル戦というのはどうですか?
「DDTの選手なら何ヵ月か前哨戦をやってというのはあるでしょうけど。UNIVERSAL王座の特色上、対戦相手が海外の選手も多くて。いきなりタイトルマッチで当たることは想定してるんで。それに向けて練習、対策とかはやってるつもりです。映像で彼の試合も見れるんで、僕の想像を超えてこないかぎりはなんとかなるんじゃないかと思います」
ーー初対決だからこそスリリングな戦いになる?
「向こうもこっちのことをそんなに知らないでしょうし。ある程度は分かってるかもしれないけど、細かいことは分からないだろうから。マネジャーがいるってことを知ってるだけで、こっちにとっては大きなアドバンテージかな」
ーー勝って防衛は果たしたいですよね?
「それはもちろんです」
ーー前回の両国(2022年3月20日)ではKO-D無差別級王座戦でメインでしたが、今回はおそらくメインではないと思います。これまで無差別級を持たれていて、今UNIVERSAL王座を持っていて、しっくりしてきましたか?
「去年は竹下とメインで、今年はおそらくメインではない。僕のレベルが落ちたというより、ほかの選手の層が厚くなった。去年の6月にアクシデントで無差別級を返上してしまって、樋口(和貞)が初めて巻いて。火野(裕士)さんが獲って。火野さんと、26周年興行(3月21日、後楽園)で、納谷(幸男)君が初めてメインでタイトルマッチをやって。次はクリス(ブルックス)。喜ばしいことじゃないかと」
ーー時が来れば、無差別級を狙っていく気持ちはありますか?
「ベルトに優劣はつけたくないけど、試合順でメインは無差別となってる以上、KO-D無差別級がDDTのトップのベルトであることに変わりはない。DDT所属選手である以上、そのトップのベルトを目指さないといけないと思ってるんで。ずっと前から言ってることで、今でも狙ってはいますし、次クリスと決まっていて。僕も守るべきベルトがあるんで、両国で防衛したとして、その後に挑戦者が出てきたら、挑戦者に向かい合うのが筋かと」
ーー無差別級は機会があればということで…
「挑戦するなら、僕のなかではトーナメント(KING OF DDT)、D王 GRAND PRIXで優勝して、挑戦してベルトを獲るのが一番美しいかなと思ってるんで。今年のトーナメントは結果残せなかったんで、D王で優勝目指して、その先にある無差別級も獲って、2冠になりたいですね」
ーーベルトを守ったら、団体内、他団体、海外を含めて防衛戦をしていきたいですか?
「基本的に防衛戦はDDTのリングでしかしたくない。DDTのベルトで、DDT所属の遠藤哲哉が持ってるんで。防衛戦を行うのはDDTのリングでやるのが筋。自ら他団体に出向いて挑戦者を探すというのはあまり自分の中のチャンピオン像ではないので。たとえば新日本のIWGP世界ヘビー級チャンピオンが、挑戦者を探しに他団体に出向くかってそうではないんで。王者は堂々としていたい。それが僕の王者像なんで」
ーー他団体選手でもDDTのリングならOKですか?
「それはもちろん。防衛戦はむしろ他団体の選手とどんどんやりたいです。僕がUNIVERSALを持ってることで、他団体の選手がDDTに上がるきっかけの一つになればいい」
ーー防衛を続けていきたいところですね?
「9月16日に地元の白石(ホワイトキューブ)で興行があるんで、チャンピオンとして凱旋したいです」
©DDTプロレスリング
【大会名】WRESTLE PETER PAN 2023
【日時】2023年7月23日(日) 開場12:30 開始14:00
【会場】東京・両国国技館
<全対戦カード>
◆グッドコムアセット presents KO-D無差別級選手権試合
<王者>火野裕士 vs クリス・ブルックス<挑戦者>
※第80代王者3度目の防衛戦。
◆DDT UNIVERSAL選手権試合
<王者>遠藤哲哉 vs マット・カルドナ<挑戦者>with ステフ・デ・ランダー
※第10代王者2度目の防衛戦。
◆株式会社メキシコ観光 presents ドラマティック・ドリームマッチ
佐々木大輔 vs エル・デスペラード
※勝者には勝利者賞として株式会社メキシコ観光よりテキーラ1年分が贈呈されます。
◆KO-D6人タッグ選手権試合
<王者組>樋口和貞&中津良太&石田有輝 vs 坂口征夫&赤井沙希&岡谷英樹<挑戦者組>
※第51代王者組の初防衛戦。
◆スペシャルシングルマッチ
KONOSUKE TAKESHITA vs 上野勇希
◆スペシャルシングルマッチ
TAKAみちのく vs MAO
◆スペシャルタッグマッチ~納谷幸男復帰戦
HARASHIMA&納谷幸男 vs 秋山準&入江茂弘
◆スペシャルタッグマッチ
ちぃたん☆&ポコたん vs アンドレザ・ジャイアントパンダ&スーパー・ササダンゴ・マシン
◆3WAY6人タッグマッチ
土井成樹&大鷲透&平田一喜 vs 藤田ミノル&MJポー&KANON vs 鈴木鼓太郎&岡田佑介&高鹿佑也
◆飯野“セクシー”雄貴&男色“ダンディ”ディーノ&今成“ファンタスティック”夢人 with カチキレ久弥 vs 彰人&高尾蒼馬&下東由朋 with ブチギレ氏原
◆高木三四郎&川松真一朗&夢虹 vs 高梨将弘&小嶋斗偉&瑠希也
◆正田壮史 vs 須見和馬
▼大会詳細は公式サイトにて