日系企業、中国で1億円被害恐れ 放射線検査で税関が鮮魚留め置き

中国上海市でのイベントで披露された長崎県産マグロの解体ショー=2月(共同)

 【上海共同】中国税関当局が日本からの輸入水産物に対する全面的な放射線検査を始めた問題で、現地の日系5社が輸入した大量の鮮魚などの水産物が中国南部の税関で留め置かれたことが20日、分かった。検査に時間がかかって鮮度が保持できず、計1億円の被害が出る恐れがある。日中関係筋が明らかにした。全面的な放射線検査導入で関係企業への影響が懸念されていたが、本格的な被害が明らかになるのは初めて。

 中国外務省の毛寧副報道局長は20日の記者会見で、税関で留め置くなどの措置について「国民の健康に責任を負わなければならない。対応には十分な理由がある」と述べて正当化した。

 中国には日本から水産物を輸入する拠点が数カ所あり、今回判明したのはその一部。被害は拡大するとみられる。

 中国は東京電力福島第1原発処理水を巡り日本に圧力を加えるため検査を続ける構え。中国では日本の鮮魚が入手できなくなり、他国産に切り替える飲食店も出ている。日本側の輸出業者や漁業関係者に損害が広がることも懸念される。

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