<レスリング>【世界選手権代表決定プレーオフ・特集】健闘選手の声

 

(2023年7月17日、東京・味の素ナショナルトレーニングセンター)


 ■女子55kg級・清岡もえ(育英大=1回戦で奥野春菜に敗北)「去年の世界選手権は、(代表選手の)パートナーという形で行かせていただいた。そのときに『来年は自分が世界の舞台で闘いたい』という思いで、1年間取り組んできた。今日の試合は思ったより緊張してしまった。明治杯の決勝(女子53kg級で藤波朱理にテクニカルフォール負け)でも同じような失敗をしている。緊張したせいで『絶対勝つぞ』という気持ちより、『どうしよう』という焦りの方が上回ってしまい冷静な試合運びができなかった。

 育英大は3人の選手が世界選手権代表になっている。その代表にできるだけ近づきたいという思いでやってきました。それが練習する原動力にもなっていたのですけど…。気持ちの面でもっと強くならないと、この先、勝ち切っていくことはできないと思います。来年こそは世界選手権に出て、先輩たちに追いつけるようにしたい」


 ■女子59kg級・金城梨紗子(サントリー=終了直前に南條早映に逆転負け)「明治杯が終わった直後のインタビューでは、『自分の最大限(の能力)を出し切ったうえでの結果なので、悔しいというより、よくやったと思っていました』と話しました。試合を振り返ってみると、(レスリングには)産後で復帰している選手がいなくて、自分が第一人者になるつもりでやってきて、自分の中で『よくやっている』という思いに少し甘んじていたと思う。

 今回は産後とか、『自分はよくやっている』という考えではなく、『しっかり勝ちたい』『金城の姓で子供を産んで世界一になりたい』『娘に金メダルをかけてあげたい』『もう一回、姉妹で世界選手権に出たい』と思いながらやっていました。オリンピックを目指すことは厳しくなった現実の中での最高の舞台は世界選手権。なので、明治杯が終わってからの1カ月間は本当に一生懸命にやってきました」


 ■女子65kg級・川井友香子(サントリー=1回戦で尾﨑野乃香に敗北)「わたし自身は明治杯でやり切った気持ちが強くて、今回のプレーオフは出るかどうか3日くらい前までずっと悩んでいました。出たくない、と思ったときもありました。それでも出たんですけど、このプレーオフに出たことは将来の自分に誇れると思います。いい結果ではなかったけど、闘えた自分をほめたい。

 プレーオフに出た時点で『世界選手権に出たい』という気持ちがありました。明治杯のときには優勝したとしても、そのあとにプレーオフが控えている。(そんなふうに)先のことを考えてしまい、決勝は(自分のレスリングを)やり切れずに終わってしまった。だから今回のプレーオフは先のことを考えずに、『勝てば世界選手権出場となる』と、目の前の試合をすることに集中していました」


 ■女子65kg級・吉武まひろ(日体大=代表決定戦で尾﨑野乃香にテクニカルフォール負け)「情けないと思います。(尾﨑と川井友香子の)どちらが上がってくるか分からなかったけど、『(どちらかといえば)尾﨑選手が上がってくるかな、と予想していました。左構えの片足タックルの対処の練習を意識してやっていました。でも、一発で決められてしまった。練習が足りなかったと思います。

 警戒していたけど、片足をとってからバックをとってのアンクルホールド。そのつなぎがすごくうまい選手だと思います。過去に対戦したこともあったので分かってはいたけど、それでも対処しきれなかった。悔しいです」


 ■女子72kg級・進藤芽伊(クリナップ=日体大の後輩となる森川美和との決定戦で敗北)「森川選手とは、大学時代から6年間ほど毎日練習している相手。お互いアップパートナーを務めながらやっていました。まさかプレーオフで当たるとは思っていませんでした。当たると分かったあとでも、練習では毎日、1本目からいつもと変わらない練習をしていました。今回もスパーリングみたいな感じで臨めたんじゃないかと思います。

 森川選手の強さは誰よりも私が分かっている。何かひとつはしたいと思ったけど、このような試合(2-4の黒星)になってしまった。やっぱり森川選手の方が強かった。身体の使い方と試合運びがうまい。柔軟性もあるので、もつれた状況でも強い。今回もなるべくもつれた状況には持っていきたくなかった」


 ■男子グレコローマン63kg級・稲葉海人(日体大大学院=1回戦で丸山千恵蔵を破ったが、池田龍斗との決定戦で敗北)「自分が得点している状況からしっかり押さえ切れなかった。自分の弱さが改善できていなかったのかなと、思いますね。(もともと)僕は60kg級の選手。目の前には同じ中学、高校、大学に通った文田(健一郎)先輩がいる。その先輩を超えられることだけを目標にやっていきたい。

 オリンピックより文田先輩を倒したいという気持ちが出てきた。この階級で負けてしまって、ちょっと落ち込むところもあるけど、しっかりと切り換えて12月の天皇杯で自分にチャンスが回っていることだけを信じたい」


 ■男子フリースタイル92kg級・高橋夢大(日体大=吉田アラシとの代表決定戦で敗北)「自分の強い部分を出すことができなかった。相手は組み手がとてもうまく、実績もある。強いことは分かっていたので、組み手で相手にコントロールされず、自分の姿勢を崩さないで、自分の形を作ることが作戦でした。でも(途中で)崩されてしまったりして、相手の得意な展開になってしまったことがよくなかった。

 今年の世界選手権(の結果次第)で、どうなるか分からないけど、86kg級でのオリンピック出場を目指している。希望を捨てずこれからの練習に取り組んで、12月の天皇杯に臨みたい」

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