スタジオライフ公演『お気に召すまま』上演中

スタジオライフ公演 シェイクスピアの『お気に召すまま』(おきにめすまま、As You Like It)が上演中だ。
イングランドの劇作家ウィリアム・シェイクスピア作の喜劇で、1599年に書かれ、1623年にファースト・フォリオで最初に出版されたそう。
作品の材源はトマス・ロッジ作『ロザリンド』。原作の舞台は現在のフランスとベルギーの国境付近のアルデンヌであるが、それを自分の故郷ウォリックシャー州エイボンの田園をモチーフとしたアーデンの森に設定。この世はすべて舞台」の名言で有名な名作である。ロザリンドは劇団を代表する俳優、関戸博一と松本慎也のWキャスト。それ以外の配役もWキャストだったりシングルキャストだったり、配役の妙でも楽しむことができる。終演後は撮影会やアフタートークショーなどを予定。
客席が舞台を取り囲み、舞台上は何もない。

衣裳も衣裳という感じではなく、全員白いシャツ。女性役はスカート着用、男性役はスラックス。つまり、現代の普段着。これで『お気に召すまま』、つまり衣装やメイクの力に頼らずにどこまで表現できるのか、というチャレンジ。物語はよく知られているので説明は必要ないが、この衣裳なので、16世紀の物語、という”匂い”はしない。物語の”芯”がよりはっきり見えるのが印象的だ。また女性、男性、と言うよりもそれぞれのキャラクターの気持ちがよりよくわかるのは新しい発見。ロザリンドは男装するが、男装するときはパンツ姿。スタジオライフは男性のみの劇団。よって女性役の男優が男装する、というのは、なかなか面白い設定。だが、元々は男性なので”男装した女性”、なかなかに複雑な”ねじれ”構造、ここは演技で!チャールズ(レスラー)役の船戸慎士が登場した途端に!客席は爆笑の渦に。もう”オラオラ”ぶりが強烈。

サングラスをかけて屈強なレスラーに。シェイクスピアが、こんなにPOPに。実はシェイクスピアの時代は女性役は少年俳優が演じていたので、ある意味”原点回帰”な手法。性が逆転する、という作品はほかに『十二夜』のヴァイオラや『ヴェニスの商人』で裁判官に変装するポーシャなどがいる。変装することによって行動も大胆になってくるし、彼女の人間性もクローズアップされる。そして変装した時は他の男性陣のスラックスではなく、スリムなパンツルック。ユニセックスな雰囲気で、ニュアンスを変えている。また、アミアンズを演じる山本芳樹がギター演奏で生歌披露。歌は…日本のポップスなので!
上演時間も2時間ほど。客席すれすれのところでわちゃわちゃと恋愛喜劇。派手なアクションもあり、客席は笑いっぱなし。気軽に観るにはもってこいな作品。公演は23日まで。
次回公演は手塚治虫の名作『アドルフに告ぐ』、公演は10月26日より。

STORY
家族相続の中で、それぞれ不運を抱えてしまう、ド・ボイス家の末弟オーランドーと公爵の姪であるロザリンド。二人は公爵主催のレスリング大会で出逢い魅かれ合う。が、或る日、公爵から突然の追放を言い渡されたロザリンドは従妹のシーリアとともにアーデンの森へと向かい、そこで男装し羊飼いとして暮らし始める。またオーランドーも今の生活を変えようと家を離れアーデンの森へと向かった。二人はアーデンの森の中で再び出会うことになったが、オーランドーは、男装したロザリンドが本人とはわからない。あげく男装のロザリンドはオーランドーの恋の告白の練習台の役割を担うことになる。やがてシーリアにも恋の予感が訪れ、羊飼いのシルヴィアスの片思いも巻き込んで、アーデンの森を舞台に数組の男女が恋の情熱に振り回されながら間違いと誤解を絡ませて繰り広げる恋愛喜劇。

概要
タイトル:『お気に召すまま』
原作:ウィリアム・シェイクスピア
翻訳:松岡和子
上演台本・演出:倉田淳
日程・会場:2023年7月15日(土)~23日(日) ウエストエンドスタジオ ※上演時間100分予定・途中休憩なし。
出演
チームSilverberry
ロザリンド:関戸博一
シーリア:緒方和也
フレデリック公爵(シーリア父):藤原啓児
ル・ボー(宮廷人):伊藤清之
オーランドー:鈴木翔音
オリヴァー(長兄):大村浩司
アダム(従者):松本慎也
チャールズ(レスラー):船戸慎士
前公爵(ロザリンド父):船戸慎士
アミアンズ:山本芳樹
ジェイクイズ(旅人):藤原啓児
フィービー(羊飼い娘):伊藤清之
シルヴァイアス(羊飼い):松本慎也
コリン(羊飼い):藤原啓児

チームMagnolia
ロザリンド:松本慎也
シーリア:緒方和也
フレデリック公爵(シーリア父):藤原啓児
ル・ボー(宮廷人):伊藤清之
オーランドー:山本芳樹
オリヴァー(長兄):大村浩司
アダム(従者):鈴木翔音
チャールズ(レスラー):船戸慎士
前公爵(ロザリンド父):船戸慎士
アミアンズ:関戸博一
ジェイクイズ(旅人):藤原啓児
フィービー(羊飼い娘):伊藤清之
シルヴァイアス(羊飼い):鈴木翔音
コリン(羊飼い):藤原啓児

次回公演
『アドルフに告ぐ』
2023年10月26日〜11月1日 東京芸術劇場 シアターウエスト
原作:手塚治虫
脚本・演出:倉田淳

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