第105回全国高校野球長崎大会・第12日 創成館、海星が準決勝へ 4強出そろう

【準々決勝、長崎北―創成館】タイブレークの末、長崎北を退け喜ぶ創成館の選手たち=県営ビッグNスタジアム

 第105回全国高校野球選手権記念長崎大会第12日は20日、長崎県長崎市の県営ビッグNスタジアムで準々決勝2試合が行われ、第3、5シードの海星、創成館が準決勝へ進み、4強が出そろった。
 海星は九州文化学園に1-0で辛勝した。左腕吉田翔が7回3安打、右腕髙野が2回無安打で完封リレー。バックも外野の1失策を除いてミスなくアウトを重ねた。攻撃は六回、死球と犠打で好機をつくり、2死二塁から山口の左翼線適時二塁打で決勝点を奪った。九州文化学園は四回無死三塁の先制機を逃し、六、七回はバント失敗。投手陣を援護できなかった。
 創成館は延長十回タイブレークの末、長崎北を1-0のサヨナラで退けた。投げては福盛と永本が計4安打15奪三振で好継投。打線は延長十回1死満塁、藤島がエンドランで遊ゴロを転がして1点を奪った。8強唯一のノーシード長崎北も大健闘。エース木下は全4試合、2度の延長を含めて自責点ゼロで終えた。バックの好プレーも相次いで球場を沸かせ続けた。
 休養日を挟み、第13日は22日、ビッグNで準決勝2試合を実施する。

◎創成館、延長サヨナラ 最後はエンドランで決着

 両校ともに全校応援の熱気で包まれた長崎北-創成館は、九回までスコアボードに「0」がきれいに並んだ。“投高打低”の印象が強い今大会。準々決勝最後の試合も見事な投手戦になった。延長十回の攻防も、ほんのわずかな差。軍配が上がったのは創成館だった。
 三回の先制機を逃した後、四~八回は二塁すら踏ませてもらえなかった。九回裏に1死一、三塁の絶好機をつくったが、2者連続でセーフティースクイズを失敗。長崎北のエース木下の投球術に翻弄(ほんろう)され続け、歓喜に沸く相手スタンドを前に、嫌な流れで延長タイブレークに入った。
 それを断ち切ったのは永本と山下のバッテリーだった。無死一、二塁から始まった十回の守備で、先頭打者への初球は低めのスライダー。打者はバントを試みたが当たらず、狙い通りに二走が飛び出した。山下は素早く二塁へ送球。走者も好判断でそのまま三塁へ滑り込む。二塁から転送したタッチプレーは紙一重でアウトになった。
 後続も断って迎えた裏の攻撃。先頭山下が今度は「データ通りの初球の変化球」を狙ってバントを決めた。申告敬遠で満塁となり、打席にはミート力が高い藤島。エンドランでしっかりと転がすと、三走馬渡が頭から決勝のホームへ生還した。
 試合後、稙田監督は課題を挙げながらも「この大会はこういう試合をしないと成長しない。よく耐えた」とかみしめた。準決勝は第1シードの大崎。春の県大会決勝で敗れ、2年前の夏は九回逆転負けを喫した因縁の相手だ。当時からベンチ入りする山下は力強く前を見据えた。
 「絶対に負けたくない」

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