PARIS on the City! - 新宿ロフトでの自主企画は初開催、現編成で音を鳴らす最後の日!「この4人でしか出せない音を出し切りたい」

現体制でのPARIS on the City!を『夏のパリまつり!』で見届けてほしい

──早速、『夏のパリまつり!』という企画について教えてもらいましょうか。

明神ナオ(vo, g):渋谷のライブハウスで『パリまつり!』と題した自主企画を去年秋にスタートして、今春も開催してきました。昨年末に『新宿ロフトの年末大感謝祭2022』に出演したとき、“ロフトを会場に(ホール&バーの2ステージを使って)できたら、お客さんが移動しやすくて良いんじゃないか”という考えになりまして。今春、秋頃の開催を考えて相談をしたんですが、週末はもう既に埋まっているとのことで、そうだよなぁ…と思っていたら、“8月に急きょ空きが出た”と(ロフトから)ご連絡があって。

阿久津信也(dr):本来なら去年と同じく秋に開催の予定で考えていたんですけど、だったら夏にやろう! っていう流れです。アコースティックもライブバンドも見られて、少なからずゆったりできるスペースもロフトにはある、自分たちがライブを見に行ってお客さんの立場になると移動やずっと立ちっぱなしは疲れちゃって、ぶっちゃけ途中で帰りたくなるから(笑)。程よくくつろげる場所があるのは集中力も保てるなぁ、というのが会場を考える上で念頭にありましたね。

──ロフトはベンチやソファーが常設されていて、休憩がてらおいしいフードが食べられるのも魅力的ですものね。全出演アーティストが発表になっていますが、PARIS on the City!の皆さんと近しい方々が出演される感じで?

明神:基本的にこれまでの『パリまつり!』も、自分たちと何かしら繋がりがある方をお誘いしている、というテーマがありまして。

阿久津:その上で今回は、この日でベースの田中(裕一)が脱退するので、今年に入って話し合いが行なわれて脱退が決まったときに、最後にみんなで楽しく企画をやってお別れしようっていう流れになりまして。その流れが決まった時点でより、今まで一緒にやってきた人たちと一緒にという気持ちが強くありますね。だから前回の『パリまつり!』の出演者も多いのは、“より”一緒に見届けてくれるメンツに集まってもらったから、というところがありますね。

──今の4人でスタートして、そのうちのお1人が脱退というのはいろいろな思いがおありでしょう。

阿久津:(リズム隊として)ベースと2人で練習したりもしてきたので、純粋に寂しい思いはありますけどね。

明神:いろんな気持ちはありますけど、よくよく考えると人生は一度きりだから後悔はしてほしくないし、行きたい方向に100パーセント振り切って行ってほしいなという気持ちで送り出したいなとは思っています。でも今はまだちょっと、何て言うべきか難しいところがあるんですけども。それで『夏のパリまつり!』までに自分の中での正解が見つかれば良いなと思うところもありますし、そもそもPARIS on the City!は解散するわけではなくこれからも続いていくので、そのことに集中できるようになれば良いのかなと考えてます。お客さんからすれば、“このメンバー4人じゃないと”みたいに思う方もいるかもしれないけど、僕らは引き続き良い音楽を作って良いライブをして、やりたいこと・やるべきことをやっていく、というだけですね。

──「脱退のお知らせ」内で田中さんが“最後の最後の一音まで魂込めて演奏していますのでぜひ4人の演奏を観にきてください”と綴っていますが、これがまさに『夏のパリまつり!』に向けた大いなるメッセージですよね。

明神:そうですね、この4人編成では最後のライブになるので。この4人でしか出せない音を出し切りたいです。4人ならではの空気感は再現はできないし、今まで関わってくれた人やライブを見にきてくれた人全員に、それを見に来てほしいです。さっき言ったように僕らは音楽を発信し続けていくし、それが全てではあるので。

──“音楽を発信し続けていく”という揺らがない思いはどこから湧いてくるのでしょう?

明神:まず単純に曲を作ることがとにかく好きなんです。それを自己満足だけでは終わらせたくないし、それがもしかすると何かの役に立てたら良いなという思いもあります。音楽とか歌詞の言葉に救われる、そういう経験がこれまで自分にはたくさんあったので、PARIS on the City!の曲は主に僕が書いてるんですけども、自分の音楽がそういうものになれたら良いなという思いも根本にはある感じですね。

『夏のパリまつり!』はPARIS on the City!・メガシンカバージョンでお届け!

──では、お2人が“救われてきた音楽”というのも聞かせてもらいましょうか。

明神:たくさんいる中で選べないんですけど(笑)、僕は音楽をアコースティック・ギターから始めたところもあるのと親の影響もあって、松任谷由実さんとか桑田佳祐さんとか、ギターも歌謡曲ばっかり練習してましたね。いろんなジャンルを聴いてきてはいるし、これが全てっていうのはないですけど、PARIS on the City!としてはメンバー全員スピッツが好きだったりします。

阿久津:僕は単純に大好きなのはまずインストバンドのtoeで、今でもやたら聴いちゃいますね。あと最近はShe Her Her Hersが好きだったりします。バンドのメンバー全員が基本は歌ものが好きというのはありつつ、個人が聴いてる分野は各々で、ギター(小林ファンキ風格)はアニソンが大好きだったり、ベースはR&Bとかファンク、K-POPとかが大好きで。明神に関してはね、洋楽ももちろん聴くけどジャパニーズ・ポップが好きな印象だよね。

明神:言葉とメロディが突き刺さってくるものが好きですね。

──PARIS on the City!としても目指すところというのは今仰った、言葉とメロディを大切にする音楽でしょうか。

明神:そうですね。その上で、ライブを楽しむっていうのが全てですね。ライブでもっと自分を裸にしたいと言うか…いつ死んでもエェわ! っていう気持ちで毎回、ライブをやっている感じですね。

阿久津:抽象的ですけど、ライブはみんなで良いものを出したいっていうのがまずあって、この表現がドラマーとしても良いのか分かんないですけど、メンバー4人の自慰行為をどれだけお客さんに見せられるかというところだと思っていて。(ドラマーとして)後ろからステージも全体も見てて、周り含めてみんな良かったっていうのが分かったらウェイ! ってなりますし。

──お2人とも表現がなかなか個性的ですが、バンド名からのイメージも楽曲にしても爽やかなポップ感があっても、「言い訳を抱いて」(2018年)という曲で“スケベ”というワードが出てきたときに“え!?”って思ったりしまして、このギャップが個人的には面白いなと今日のお話を聞きながら思いましたね。

阿久津:僕だけ異質なんで、と書いてください。

明神:彼が一番、純粋なんですよね。う〜ん…、何も考えてないだけなのかもしれないけど(一同笑)。

阿久津:(ライブでの)物販で(お客さんにも)バレてるからね(笑)。

──個人的にはライブを見る楽しみが増してきましたよ! では改めて、『夏のパリまつり!』はどんな1日になるでしょうか?

明神:各アーティストとコラボをするのが、これまでの『パリまつり!』の醍醐味だったんですね。

阿久津:『パリまつり!』の1回目は、メンバーの誰かが関わるという形で全アーティストとコラボしたんです。それこそアイドルともコラボしましたし(笑)。

明神:でも時間とかも大変だったので前回は何組かとコラボして、だったので、今回もそういう形でコラボがあると思います。その中で今回に関しては、シンガーソングライターの渡ケントくんとPARIS on the City!が一緒にコラボして音源を作らせてもらったんですよ。「たましいの話(feat. PARIS on the City!)」っていう曲で(7月26日リリース)、これは前回の『春のパリまつり!』のときに、ケントくんが“PARIS on the City!に曲を書いたから、一緒に演ってほしい”って言ってくれて。そこで初めて一緒に演奏した曲で、音源として共作して。今回、『夏のパリまつり!』でも演ることになると思います。

──『パリまつり!』を通して音楽の素敵なストーリーが紡がれているんですね。渡さんのみならず、コラボ予定はどうでしょうか…?

明神阿久津:もちろん、もちろん!

明神:黒川(侑司/ユアネス)さんとウチのギターが前回もコラボをしていたので、おそらく今回も演るんじゃないかな…? と思いますし。

阿久津:倉品(翔/GOOD BYE APRIL)さんと一緒にやったら? まだ間に合うし! …ってゴメンね、人任せで(笑)。

明神:確かに! ちょっと連絡するだけ、連絡してみます!

──GOOD BYE APRILは新宿ロフトでよくライブを見ている側からすると、倉品さんとのコラボは期待したいですね!

明神:ロフトという場所のストーリーとしても良いですよね。僕も好きな曲がいっぱいあるし、どうなるか分からないけれど(笑)、ご期待ください!

──逆に、PARIS on the City!のライブでコラボとか、どなたかが入ったりといったことは?

明神:今回はバンドメンバー4人にサポートでキーボードをプラスして、5人でちょっと長めのステージを想定してます。基本的に鍵盤が入るのはワンマン公演のときだったりするんですけど、今回が現体制がラストだということで。5人での演奏に集中して、“PARIS on the City!・メガシンカバージョン”でお届けします!

阿久津:5人のLINEグループの名前も“メガシンカバージョン”だもんね。この名前、ギターの小林がポケモン大好きで、ポケモンからいただきました!(笑)

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