浅虫水族館(青森市)、23日で40周年 「楽しみ学ぶ場」に注力、22日から各種企画

ゴマフアザラシの赤ちゃん
ゼニガタアザラシの赤ちゃん

 青森市の県営浅虫水族館が23日に開館40周年を迎える。開館時から多くの県民を魅了し続けるイルカパフォーマンスに加え、近年は学びや教育にも一層注力し、本年度は水産資源の管理や持続可能な開発目標(SDGs)をテーマにした展示を常設化。「楽しんで学んでもらう水族館」として発展を続けている。同館は23日に記念セレモニーを開催するほか、22日以降、各種企画を行う。

 浅虫水族館は1983(昭和58)年7月23日に開館。夏休みに入って最初の日曜日だった翌24日から一般公開を始めた。午前9時の開館前から徹夜組を含めた長い列ができ、初日だけで約7500人が訪れた。東北で初めての「アシカとイルカのショー」は大人気で、毎回超満員だった。

 ショーとともに話題を集めたのが、長さ15メートルのトンネル水槽だ。開館時から働いている飼育展示部魚類グループの杉本匡さん(62)は「東洋一の長さ-が当時の売り文句だった」と振り返る。開館当初は南方系のブリやマダイが地元の魚と一緒に泳いでいて「ちぐはぐな展示だった」とも。幾度かのリニューアルを経た現在のトンネル水槽は「むつ湾の海」をテーマにホタテの養殖施設などを再現している。

 「40年のうち、この10年間が最も大きく展示内容が変化したのでは」と杉本さん。青森県周辺で見ることのできる生き物の展示に特に力を入れており、「ムツサンゴなど、地元の人もほとんど見たことのない生き物もいる。この機会に注目してみては」と話す。展示中のムツサンゴは開館から数年後に杉本さんが陸奥湾で採り、繁殖させ、命をつないできたものという。

 同館は40周年記念事業の一つとして、4月から「アクア学びうむ~豊かな地球を未来に~」を常設展示。海洋プラスチックごみのコーナーでは、ごみが首に絡まり衰弱したオットセイの県内保護事例も紹介するなど、より身近な問題として子どもにも分かりやすく伝えている。

 このほか記念事業では生き物に触れられるタッチコーナーを一新。22日からはイルカパフォーマンスを新しくしたり、4と0のつく日に特別な体験メニューを開催したりと、さまざまな企画を予定している。詳細は同館ホームページで確認できる。

▼アザラシベビー23日命名式 ゴマフとゼニガタ

 県営浅虫水族館で今年5月、ゴマフアザラシとゼニガタアザラシの赤ちゃんが生まれた。ともに雄で、両種の赤ちゃんがそろって誕生するのは開館以来初めて。23日の40周年記念セレモニーで、2頭の命名式も行う。

 ゴマフアザラシの赤ちゃんの母は「メイ」、父は「きぼう」で、5月9日に誕生。ただ、活発に動く様子がなく、メイが授乳の姿勢を取っても飲めない状態だったという。そのためバックヤードに移し、飼育員が人の手で育ててきた。出生時7.5キロだった体重は2カ月超で18.5キロに成長し、いよいよ今月22日に展示水槽デビューの予定だ。

 一方、5月17日に生まれたゼニガタアザラシの赤ちゃんは授乳もスムーズで、既に母親らと展示水槽内で過ごしている。飼育展示部海獣グループの宮西優輔さん(23)は「同じ時期に生まれても成長具合は異なり、種による違いや、似ているところもある。それぞれを観察して楽しんでほしい」と話した。

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