<知事選>もっと“埼玉”売り出せる、東京近くてチャンス 選挙戦突入で街の人、現状に不満も「意味不明」

(左から)柴岡祐真氏、大沢敏雄氏、大野元裕氏

 任期満了に伴う知事選が20日告示された。再選を目指し自民など5党の地方組織が支援する現職の大野元裕氏(59)に、共産公認の柴岡祐真氏(39)、無所属の大沢敏雄氏(69)の新人2人が挑む。コロナ禍など相次ぐ危機に見舞われた4年間の県政運営をどう評価し、次の4年間を誰に託すのか。8月6日の投開票に向けて県民に訴える夏の選挙戦が始まった。

■物価高対策/子育て支援充実を

 県政のかじ取り役を選ぶ知事選が告示された。新型コロナウイルス感染症対策など危機管理対応に追われた現県政の4年間。新しい知事への期待や要望を有権者に聞いた。

 育休中というさいたま市浦和区の会社員山守彩乃さん(32)は、岸田文雄首相に言うべきかもしれないとしながら、「物価高を何とかしてほしい。気軽に買い物ができず、夫には弁当を作っている」。小学2年の長男(7)を、保育園に入れる時に、市内の中でわざわざ引っ越した。7カ月の次男の保育園が心配という。同市は待機児童ゼロとされているが、「実態は違う。それなのに公立保育所を減少させるのは意味が分からない。(知事選では)子育て政策に期待したい」と話していた。

 3歳と1歳の子どもを持つ浦和区の女性(29)は、医療費の無償化や児童手当など、金銭面での支援には満足しているが、その一方で「3歳の息子を来年から保育園に入れたいが、希望通りにいかない可能性があるので不安。入園の支援などハード面の支援を拡充してくれるとうれしい」と求めた。

 4人の子どもがいる熊谷市の自営業男性(47)も子育て支援の充実を要望する。子ども食堂の運営にも携わり、シングルマザーが待遇の良い仕事に就けない現状などを目の当たりにしてきたという。「貧困家庭を生まないためにも、ただお金を出すだけでなく、もっといい仕事を見つけるため、学び直しができる場をつくるといったような施策を期待したい」と語った。

 川越市の女性(40)は経営コンサルタントとして、中小企業の支援などに携わってきた。「埼玉は観光にせよ食文化にせよ、うまく売り出せていないという印象がある。東京に近い立地を考えると、もっと要素があるはずだ」と指摘。「国や市町村との複数構造を持つ県の行政にあって、DX(デジタルトランスフォーメーション)を含めスリムで企画力を備えた機能が必要だ」と強調し、外部人材の積極的な登用などを希望した。

 幸手市で創業50年超えの飲食店を経営する金久保浩一さん(43)は、20代後半で味覚障害となり、無農薬・無添加の食生活へと一変させたことで体調が改善。同じ食環境で育てた娘2人は“医者いらず”となった実体験もあり、「県内全ての学校給食で無農薬・無添加を導入するなどしっかりとした食育に取り組んで欲しい」と要望した。

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