黒犬スキと、真夏の夜のガンゲット

こんにちは、吉田パンダです。「生きてるって楽しいな飼い主!さあ遊ぶぞ!」と目をキラキラさせているのは、24時間遊びたい黒い悪魔犬、スキッパーキのスキです。はいはい、今カシェットの原稿書いてるから、ちょっと待ってな。

さて、こちらとあちらが入れ替わる、たそがれ時。今日は隣町ジヴェルニーにあるガンゲットまで、一杯飲みに行きましょう。

ちなみに「ガンゲット」とは、元々19世紀パリ郊外で人気を博した夏の間だけオープンする大衆的な飲食店で、その多くはセーヌ川やマルヌ川沿いにあり、テラスでは音楽の演奏に合わせ客たちがダンスを楽しむ場所でした。

そんな陽気なレストラン。今回訪ねたところは、ジヴェルニーの『モネの家』から数百メートルの場所にある、小さな小川沿いのガンゲットです。

「オレを早くオロセット!」

わかったから、おとなしくしてよモット!

店の入り口に飾られた無造作なブーケの色合わせも、かなりガンゲット←もはや形容詞。

テーブルの上に置かれたメニューには、ガンゲットの歴史の説明。ルノワールの名作「船遊びをする人々の昼食」も挿絵に使われています。

ここは船ではありませんが、テーブルの向こうを眺めてみれば、もうすぐにそこはせせらぎ。

川藻のささやきに耳を傾けてみると、聞こえてきませんか陽気なギターの音色、、と言いたいところですが、この日はコンサートもなく、エレクトロポップが店内にはかかっていました。嗚呼、ガンゲット。

「おや、あれは、、」

黒犬レーダーが何かを探知。

はい、ゴールデンレトリバーのメンディくん7歳。自分たちと同じように隣町から来ていました。ボナペティ。

「ところで、ワタシのアブサンはどこかな?」

犬はアルコール飲めませんから。水でヨロシクガンゲット。

我々はシードルにリンゴジュースと、ノルマンディーらしくリンゴ尽くしです。

もう夕食時間を過ぎていたのですがチーズなら出せるよということで、地元のチーズプレートをオーダー。右からポンレヴェック、カマンヴェール、リヴァロです。パンとチーズ=ご飯と漬物的な組み合わせですね。

「ガンゲットで漬物ゲット!」

いやいや、犬はチーズもダメなんだよ(※)。あとで、持ってきたおやつをあげるから。

店の片隅には、20世紀初頭にパリで作られたピアノ。よし、サティのワルツでも弾きましょうか。

ガンゲットは夏の間だけもう6年も営業しているということですが、足を運んだのは今回が初めてでした。次回はコンサートがある日に来なくては。

La Guingette Giverny

https://laguinguettedegiverny.com/

そして、すぐ近くには昔の鉄道駅舎。現在は催事場として使われています。

元は線路だった場所でしょうか。駅舎の裏は小川沿いの散歩道になっていました。

まるで、オフィーリアが口ずさむ小唄が聞こえてきそうな、碧い世界。この場所はくれぐれも秘密にしておいてください

「さあ、オヤツくれよたっぷりと!」

レストランでやっとおとなしくできるようになってきた、黒犬です。えらいえらい。

7月の、静かな真夏の夜の水辺からお届けしました。次回もどうぞお楽しみに。

※塩分が多い人間用のチーズを犬に与えることは推奨されていません。

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