いざ「澤乃井」の里へ!東京・青梅で体験する、創業320余年の老舗酒蔵見学

東京の日本酒と言えば ──

「東京の日本酒」と聞いて、まず「澤乃井」を思い浮かべる方は多いのではないでしょうか。このお酒を製造している『小澤酒造』は、東京多摩地区にある蔵元の1つ。創業は元禄15年(西暦1702年)と、実に320年余りの歴史を持つ由緒ある老舗の蔵元です。

今回はこちらの『小澤酒造』で開催されている酒蔵見学、その一部をご紹介します。

豊かな自然に囲まれた『青梅市沢井』へ ──

『小澤酒造』は、多摩川に併走する青梅街道沿いの東京都青梅市沢井に蔵を構えています。新宿から電車、または、車で約1時間30分ほど。電車利用の場合、JR東日本青梅線『沢井駅』で下車すると良いでしょう。

酒蔵見学では実際に使われている「蔵」や「井戸」などを見てまわりながら、お酒造りの工程や老舗酒蔵ならではの貴重なエピソードをお聞きすることができます。

なお、参加は無料。電話で予約ができ(予約優先)、どなたでも参加することができます。

『小澤酒造』酒蔵見学 詳細ページ
http://www.sawanoi-sake.com/service/kengaku

『小澤酒造』の世界へ ──

『小澤酒造』の敷地内には3つの蔵 ──「元禄蔵」、「明治蔵」、「平成蔵」── があり、お酒の醸造における異なる工程・役割を担っています。今回は「元禄蔵」と「明治蔵」を見学させていただくことができました。

ちなみに、もうお分かりかもしれませんが、各蔵にはその蔵が建てられた当時の年号が冠されています。

創業当時から使われている最古の蔵「元禄蔵」 ──

「元禄蔵」に足を踏み入れると、ひんやりと。そして、大きなタンクがズラッと並んだ光景が目に飛び込んできます。

タンクには2つの数字が書かれていますね。何を表しているか分かりますか?

上段は管理番号。下段は容量を表しています。

例えば、こちらは「201番」で「15,442リットル」ものお酒を溜めることが出来るタンク、ということになります。ちなみに、これは一升瓶(1.8リットル)で8,500本以上にもなる量!まさに「圧巻」の一言です。

なお、このような説明は、蔵内を案内していただける『小澤酒造』の方からお聞きすることができます。

こちらは『小澤酒造』の吉﨑 真之介さん。丁寧で分かりやすい、且つ、こちらで長年働かれているからこその貴重なお話の数々は、お酒好きにはきっと堪らないものばかりです!

第2の蔵「明治蔵」 ──

「平成蔵」ができるまでは、こちらの「明治蔵」で製麹(せいきく)や仕込みが行われていました。上階には、製麴 = 蒸したお米に麹菌をつける作業を行う「こうじ部屋」などがあったそうです。手前に見える階段は、蒸し米を運ぶためのもの。驚くほどの急勾配なのですが、これによりお米をいち早く上階へと運べたのだそうです。

杜氏や蔵人の皆さんの姿を想像しこの光景に重ね合わせることで、当時の酒造りの様子が浮かび上がってくるかのよう。ひんやりとした蔵内の空気も相まって、脳内のイメージがリアリティを帯びてきます。

清き水の存在

米や麹と共に、日本酒の味わい・品質に大きく関わるのが「水」。ここ『小澤酒造』で日本酒を造る際に使われる仕込み水は、自然豊かな奥多摩の大地よりもたらされる湧水です。

こちらは「蔵の井戸」と呼ばれる、幕末頃に掘られた140mにも及ぶ横井戸。ここで汲み上げられる中硬水は、昔ながらの製法「生酛造り」で造られるお酒に使われます。

まるで洞窟のような通路。この先で見られる横井戸の光景はなんとも神秘的です。ぜひご自身の目で確かめてみてください。

ちなみに、こんなところも ──

一見、ただの通路だと思ったのですが......

壁にはなんと酒瓶がズラリ!ここに並んだ古酒「熟成 蔵守(くらもり)」は、特定のお店でしか購入することができない貴重なお酒。ただ、『小澤酒造』に足を運べば、もちろんこの古酒もいただくことができます。

いかがでしたでしょうか?

酒蔵見学は約30分ほど。320年にも及ぶ老舗酒蔵の歴史の一端に触れる時間は、実に有意義なものでありました。そして、酒蔵見学を終える頃には自然とお酒が欲しくなってくるはず……。

見学後は、ぜひ『清流ガーデン澤乃井園』に足を運んでみてください。

『小澤酒造』の庭園 ──『清流ガーデン澤乃井園』

多摩川のほとりに広がる『清流ガーデン澤乃井園』では、豊かな自然に浸りながら、お酒を片手に軽食を楽しむことができます。

ちなみに、ここ「沢井」という地名は、“豊かな名水が沢となって流れる”ところから付けられたのだそう。お酒造りの際に仕込み水として使われる「岩清水」は「東京の名湧水57選(東京都環境局)」にも認定されています。

仕込水はいただくことができますので、ぜひその清く澄んだ味わいを体感してみてください。

また、園内の売店2階にある『唎酒処』では、常時10種類以上のお酒を楽しむことができます。

もちろん“その時期”にしか呑むことができないお酒も……例えば、9月中旬頃には「ひやおろし」、10月下旬頃には「一番汲み」や「しぼりたて」というように。

先ほど蔵内で拝見した古酒「熟成 蔵守(2016年純米酒)」も、こちらでいただくことができます。加えて、35%まで磨き上げられた山田錦(特A)が使われている「大吟醸 凰(こう)」とも初対面。

スッと入ってくる口当たりは心地良く、直後に品のある旨味がふわっと舞う「大吟醸 凰」。一方の「熟成 蔵守」はトロッと濃厚な開幕から、独特の香りと共に、熟成した旨味が口の中をゆっくりと這うように広がっていくかのよう。同じ蔵で造られたとは思えないほどの違いは、実に印象的でした。

視界いっぱいに広がる大自然に囲まれた『清流ガーデン澤乃井園』。こちらでお酒を楽しむひとときは、酒蔵見学を体験した後でより一層“美味なもの”になること請け合いです。

老舗蔵元『小澤酒造』に、ぜひ足を運んでみてください。

『小澤酒造』清流ガーデン澤乃井園 詳細ページ

http://www.sawanoi-sake.com/service/sawanoien

小澤酒造株式会社

〒198-0172 東京都青梅市沢井2丁目770

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オフィシャルサイト:https://tama-kankou.tokyo/

Instagram:https://www.instagram.com/imadekakerutama/

*取材・文・撮影:ヤマネコ

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*この記事は2023年6月時点の情報を基に作成しています。

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ライター:多摩観光推進協議会

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