河井夫妻大規模買収事件 証言続々…特捜検事が供述誘導か

河井夫妻による大規模買収事件の舞台となった参議院選挙から4年。検察による捜査の根幹を揺るがす音声ファイルの存在が明らかになりました。

「先生を否認にしたくない」「議員を続けてほしい」

元広島市議の木戸経康被告は河井克行元法務大臣から現金30万円を受け取り、検察審査会から「起訴相当」と議決され辞職しました。

初公判を控えるなか弁護人が緊急会見を開き明らかになったのは検事と木戸被告の取り調べを録音した音声ファイルの存在です。

木戸元市議の弁護士「(調書の)訂正、廃棄を頼んだけれども、担当検察官がそれはできないと極めて恐れを感じられて録音することを始められた」

「反省していることを出してもらい、不起訴であったりなるべく軽い処分に」

録音には任意での取り調べのなかで東京地検特捜部の検事から不起訴をにおわすなどの文言があったということです。

木戸元市議の弁護士「特捜部(の捜査)というのはストーリーありきです。河井夫妻を立件するためにやったんだというところはあるんじゃないですかね

(元市議らから)無理な供述をとっているんじゃないかなと思います」

検察による供述の誘導はあったのでしょうか。

元大臣から50万円を受け取った罪に問われ裁判が続いている広島市議の三宅正明被告は「誘導があった」と証言します。

広島市議 三宅正明被告「同じようなこと当然ありました。河井だけをやりたいとか協力してほしいとか、正直者がばかを見るのはおかしいとか、市議会議員を続けたいですよねとか、辞めないでくださいとか、そういった発言は何度も何度もされました」

記者「その発言については供述誘導につながっていると思うか」

広島市議 三宅正明被告「今思えばそうでしょうねそうだと思います。供述誘導だと思います」

元大臣から現金を受け取った元議員も似たようなやりとりがあったと話します。

有罪確定の元県議「ある政治家が辞職願を出したときに辞める必要ないバカですねという言い方を検察がした。あなたたちは悪くないと辞めなくていいからこれからもがんばってくださいと悪いのは河井なので河井を叩くための協力をしてくださいという言い方を何度もされました。完全に誘導というかストーリーが決まってて議員を続けるんだからこの通り答えろよみたいなことは感じてました」

刑事訴訟法には任意の自白でなければ証拠にできないと定められています。

斎藤法務大臣は一般論と前置きし「任意性を失わせるような利益誘導は断じてあってはならない」と強調しました。

不当な取り調べは行われていたのでしょうか。やりとりが記録された録音データについては最高検も把握していて、内容を調べるとみられています。

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