夏の電気、昨年より安く 北電、家庭向け 数十~数百円 オール電化は1900円以上

  ●燃料費下落▼政府補助▼/▲値上げ

  ●8、9月分 企業は高く

 北陸電力の8、9月分の家庭向け電気料金が、昨年と比べて安い水準に収まる見通しとなった。北電は4月以降に抜本的な値上げに踏み切ったが、国の料金緩和策と最近の燃料費の下落が重なり、金額を下げた。オール電化を除く標準的な家庭は前年同月より数十円~数百円、オール電化世帯は1900円以上安くなる。企業向けの電気料金は政府の補助額が家庭向けと比べて少ないため、昨年夏より高くなる見込み。

 家庭向けのうち、オール電化を除く標準世帯(月使用量230キロワット時)の料金は、8月が6360円、9月が6121円となる。昨年は8、9月ともに6402円だった。

 オール電化家庭のモデル世帯(750キロワット時)は、8月が前年同月比で1964円安い1万8853円。9月の料金は明らかになっていないが、北電によると、さらに安くなる見通しだという。

 北電は4月にオール電化世帯と企業、6月には国の審査が必要なオール電化以外の家庭の料金を値上げした。6月の値上げ率は平均39.7%で、国に値上げ申請した大手電力7社のうち、沖縄電力に次いで大きな上げ幅だった。

 それにもかかわらず、夏場の料金が昨年より安くなるのは、昨年秋まで高騰を続けた燃料費が下落しているからだ。

 貿易統計によると、北電が発電燃料の主力としている石炭の価格は、高騰のピークだった昨年11月と比べ、今年5月の価格が44%値下がりした。加えて2月分から政府の料金緩和策が反映されている。北電の値上げ幅よりも、これらの要因が上回ったため、昨年夏よりも安くなった。

  ●秋以降動向読めず

 ただ、今後の電気料金の動向は読みにくい。10月には政府の補助額が半減するため、再び料金が上昇する可能性がある一方、燃料価格の下落が続き、値下がりすることも考えられる。

 志賀原発の停止が続く以上、火力発電向け燃料の価格変動に電気料金が左右されやすい状況は避けられない。冬場になれば世界中で燃料需要が高まることもあり、北電の担当者は「燃料価格は常に注視しているが、秋以降の動向を見通すのは困難だ」と話した。

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