希少植物の盗掘やめて 岩手県内、被害後絶たず

山野草が盗掘された滝沢市内の山林。斉藤政宏さんは再発防止に向けて札を立てた

 希少な植物の盗掘が岩手県内で問題となっている。近年は山野草人気の高まりを背景に、一部の心ない人が山林内から持ち帰って自宅庭に植えたり、販売したりするのが目的とみられる。県指定の希少種を採取することは条例などで罰則がある犯罪。指定外でも住民の思いを踏みにじる行為が後を絶たず、専門家は「絶滅にもつながりかねない」とモラル向上を訴える。

 自生するエビネとヤマシャクヤクの数十株が抜き取られた。滝沢市大崎の斉藤政宏さん(68)が所有する市内の山林内。ともに県の「指定希少野生動植物」ではないが、いわてレッドデータブックに掲載され、環境省の区分でも準絶滅危惧種に該当する。

 斉藤さんが被害に気づいたのは、花を咲かせる5月ごろ。ササなどに覆われ荒れていた山林だったが、希少植物を保護したいと地道に手入れをしてきた。約7年かけて環境を改善し、株が増えてきた段階での盗掘。再発防止のため現場に札を立て、他の自生場所にも目印を付け対策を講じた。

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