「下山の指示聞いた記憶ない」 那須雪崩刑事裁判第8回公判

 那須町で登山講習中だった大田原高校の生徒と教諭合わせて8人が雪崩に巻き込まれて死亡した事故で、業務上過失致死傷の罪に問われている、講習会の責任者だった教諭3人の裁判が21日宇都宮地方裁判所で開かれ、証人尋問で、講習会に参加した生徒らが引率した教諭の指示などについて証言しました。

 業務上過失致死傷の罪に問われているのは当時の講習会の責任者の猪瀬修一被告(57)と8人が亡くなった大田原高校の班を引率していた菅又久雄被告(54)、それに後続の班を引率していた渡辺浩典被告(60)の3人の教諭です。

 裁判では雪崩を予見できたかなどが争われています。

 21日の証人尋問では雪崩事故が起きた当時、先頭の大田原高校の後続の班として訓練に参加した、真岡高校山岳部の一年生だった男性2人が証言台に立ちました。

 前回の公判で証言台に立った大田原高校の山岳部員だった男性3人は、当時の積雪について、30センチから40センチあったと証言しましたが、今回の男性2人も同様の状況だったと振り返りました。

 さらに、積雪のため訓練の内容がラッセル訓練に変更になったことが生徒に伝えられた際、引率の教諭などから訓練する範囲や終了時間など具体的な説明がなかったと話しました。また、当時班を引率していた渡辺被告が「頂上まで行く」と冗談のように言っていたのを聞いたほか、「下山するという指示を聞いた記憶はない」と証言しました。

 次回の公判は7月31日に開かれる予定です。

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